さみしい夜の句会報 第286号を発行しました

未分類
スポンサーリンク

Karsten MadsenによるPixabayからの画像

スポンサーリンク

さみしい夜の句会報 第286号(2026.8.9-2026.8.16)

第286号の参加者は34名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

Xでまた仕様変更があり、リポストがプロフィールのTLに表示されなくなってしまいました。週報を作るたびに、少しずつ手間が増えていくのを感じています。すでにお知らせしている通りですが、こうしたX側の変更があまりに続くため、#さみしい夜の句会 は301号からBlueskyのみでの運営に切り替えさせていただきます。ご不便をおかけしますが、参加を続けていただける方は、よろしければBlueskyのアカウントをご用意いただけますと幸いです。すでにBlueskyでの投句に移ってくださった方もいて、とてもありがたく思っています。

スポンサーリンク

◆ 参加者(34名)

クイスケ、七澤銀河、汐田大輝、代本版、山田真佐明、鈴木正巳、佐井杜有、田中美蟲角、しまねこくん、カオルル、舞風 奏、須藤純貴、Nichtraucherchen、ひよどりよりこ、片羽 雲雀、岡村知昭、雨声、宮坂変哲、塩の司厨長、石川聡、しろとも、青海波、まどけい、akao、水の眠り、不思議な話のアイン、季川詩音、桑原 雑、牛田悠貴、雷(らい)、もふもふ、日下 昊、守宮やもり、月波与生

スポンサーリンク

◆ 川柳・俳句

パパイヤとずっと踊っていたい昼 汐田大輝

しんがりをゆけば百鬼夜行わんさか 汐田大輝

手帳から磯の香りがする刑事 汐田大輝

甘噛みをしたくなったら見る古地図 汐田大輝

逝ったまま戻ってこない晩夏光 汐田大輝

欠けていく太陽欠けていく素顔 クイスケ

玉砕の玉になりきれないサロメ クイスケ

権限が失効してひらけ野原 代本版

恋と嘘見抜く手前で服を脱ぐ 七澤銀河

揚げたての晩夏の匂う割烹着 佐井杜有

キャンピングカーより盆の卒塔婆出づ カオルル

人妻の桃むく指を舐めてをり カオルル

盆踊りイタコの顧客満足度 しまねこくん

一族は天狗の面の里帰り しまねこくん

血の味を覚えて秋を生きる蝉 しまねこくん

どうしても縦に置きたい天の川 しまねこくん

染みになりケチャップだけの空になる 山田真佐明

サラエボの夏に熱ごと時間旅行 山田真佐明

すれすれのところで着地した熱夜 山田真佐明

マダムには看護師になる夢もある 山田真佐明

酔いどれの便器に浮かぶ月の声 片羽雲雀 

濡れ場にて台詞忘るる村芝居 鈴木正巳

三助のごと後ろから墓洗う 鈴木正巳

戒名を未だ読めずに墓参り 田中美蟲角

あしたから木馬を舐めてくれないか 岡村知昭

五本の指で資本主義 Nichtraucherchen

やさしい嘘を盗み出す Nichtraucherchen

おっさんはおっさんのため泣くのです 宮坂変哲

巣立ちして星の見えない街に住む 宮坂変哲

血縁のテーブルを含めて抱いた 牛田悠貴

   *

熱帯夜 最後の花が 爆ぜて散る 須藤純貴

稲妻やふすまの奥の隠し事 ひよどりよりこ

天の川からたれさがる 塩の司厨長

路地奥でニンニク醤油の香が灯る 石川聡

方々に帰っていくの流星群 しろとも

都合良い男と女秋の雨 akao

スフィンクスが笑っている絵空事 アイン

朝顔に死体盗られて散る桜 桑原雑

母の日や女子大卒の母と祖母 季川詩音

山の日に分厚き本を読みにけり  まどけい

七輪を囲み酷暑をスルーする もふもふ

   *

ぬるま湯が水に変わってゆく睡魔 月波与生

スポンサーリンク

◆ 短歌

騒がしいこの街角に馴染めずにジャージャー麺は器用に食べる 水の眠り

平等に愛することが正義だと母のスイカはいびつな形 水の眠り

   *

「もう遅い」 とっくに知ってるそれでもね 幻見てなきゃ息が出来ない 舞風 奏

文字の反転された昨日の日記を今日書く眩暈を憶える 雨声

月の使者浮き世に墜ちて分からないそれでも焦がれ月よ月よ! 青海波

スポンサーリンク

◆詩・短文 

闇が深さを増し
黒黒と冷たい息吹
川のせせらぎに
耳をすまして
やがて全てを綴る前に
ゆっくりと螺旋に昇る

朝が来て
清新な大粒の露滴に
足もとを濡らす

やがて
遠くからあなたを呼ぶ
母の声がしたとき

私は
コカコーラの缶詰を空ける
闇がはじけ飛ぶ (山田真佐明)

スポンサーリンク

◆作品評から

血の味を覚えて秋を生きる蝉 しまねこくん
 ~小学生の頃、登校時にセミを捕まえて学校まで握ったまま歩いていたら、プスッと刺されて血ぃ吸われました(実話)(日下 昊)

やさしい嘘を盗み出す Nichtraucherchen
 ~いずれにせよ嘘ですから、盗み出すというのはこれはある意味優しさなのかもしれません。ところで優しくない嘘だけが残ってしまったのでしょうか。(季川詩音)

添加物一切無しの秋の尻 しまねこく
 ~食品表示の常套句「添加物一切無し」を、秋の実りではなく「尻」に接続した衝突がいい。健康志向・自然志向の言葉が身体、しかも下世話な部位へと転用されることでユーモラスな異化が生まれ、「秋」の季語的な豊かさ・実りのイメージとも呼応する。(月波与生)

那覇に降る豪雨のあとの冷や奴 山田真佐
 ~沖縄の激しい豪雨という動的で大きな自然現象から、静かな一皿の冷や奴へと一気にスケールダウンする取り合わせ。全国各地の大雨災害を知ると、豪雨の川柳は書きにくいこともあるが、私的な食卓の情景への着地は、生活者の視点の確かさだ。(月波与生)

性格の悪い老婆に癒される 汐田大輝
 ~「性格の悪い」と「癒される」という本来矛盾する語の衝突。毒舌や意地悪さがかえって人間味となり、優等生的な優しさより深い安心を与える逆説を掬い取る。優しいおばあちゃんという道徳的な予定調和を裏切る視点の逸脱強度が効いている。(月波与生)

猫の日に猫がバンドネオンになる クイスケ
 ~「猫の日」という制定された記念日から出発し、猫がバンドネオンへと変貌するという飛躍。猫の柔らかな胴と蛇腹楽器の伸縮という身体的な類似が下敷きにありながら、単なる見立てに終わらず、タンゴの哀愁が猫という存在に重なることで新たな質感を感じた。(月波与生)

巣立ちして星の見えない街に住む 宮坂変哲
 ~この句、とても好きです。(守宮やもり)

夏痩せやひとの悪口言ふなかれ カオルル
 ~「夏痩せ」という暑さで体力が衰える季語に対し、「ひとの悪口言ふなかれ」という直接的な戒めの言葉を配した自省の句。「言ふなかれ」という文語表現を用いることで、標語的になりがちな内容に格調を与えている。(月波与生)

西瓜からのびるウォータースライダー 佐井杜有
 ~夏の象徴である西瓜の甘く瑞々しい赤から、突如としてダイナミックな「ウォータースライダー」が伸びていくという、視覚的で大胆な想像力が光る。言葉の持つ映像喚起力が非常に高く、夏の持つ圧倒的な生命感を提示している。(月波与生)

彼女って紹介される残暑かな akao 
 ~「彼女」と公に紹介された瞬間の、身体にまとわりつくような熱っぽさと気恥ずかしさが、衰えつつもなお粘り強く残る夏の暑さと心地よく共鳴する。二人の関係性が一歩進んだ確信と、どこかまだ現実感が追いつかないもどかしさが、季節の移ろいとともに切り取られている。(月波与生)

燕子花 大人をゆるさないアジト 空野つみき
 ~秘密基地が秘める純粋ゆえの排他性と、水辺にきりりと立つ燕子花の孤高の佇まいが深く響き合う。大人社会の倫理に対する抵抗の記憶と、季節の植物が持つ凛とした美しさの対比が、単なるノスタルジーにとどまらない緊張感を生み出す。(月波与生)

東スポで叩いた蠅が宇宙人 しまねこくん
 ~サブカルチャー的なユーモアとSF的ナンセンスが融合した句。「東スポ」という独特のオカルト感やB級感を醸し出す紙面でハエを叩くという日常の一コマから、一気に「宇宙人」という不条理へ跳躍する展開がよい。東スポの誌面自体が未確認生物や宇宙人の話題で満ちているからこそ、叩かれた蠅すら宇宙人に見えてくるという妙な納得がある。(月波与生)

五本の指で資本主義 Nichtraucherchen
 ~「生産性」という語で己が差別意識を堂々と開陳した事例がありましたね。この一句を見て思い出しました。「資本主義」は五本の指でないといけない、両手で指十本でなければいけない。十二音で端的に書かれた分、自分の中に潜むものが、さらけ出されたような感じを抱くのでした。(岡村知昭)

地動説は山葵の味がするはず アイン
 ~科学的言説を味覚に還元する極端な異化が主眼。「はず」という推量でありながら妙に説得力を持つ言い切りの型が、非論理を論理めかして提示する川柳的レトリック。山葵の鼻に抜ける鋭さが、地動説という発想転換の鋭さと呼応しているとも読めるが、説明を拒む飛躍そのものの快さが魅力で、意味を超えた感覚の一句として立つ。(月波与生)

海彼から聞こえる死後の佐渡おけさ 汐田大
 ~「海彼」「死後」という二重の距離設定が特徴的で、生と死、此岸と彼岸を跨いで民謡が響くという飛躍が幻想味を醸す。聴覚的イメージを軸に据えることで、鎮魂歌的な静謐さが漂い、先人の記憶が死をも超えて鳴り続ける感覚を残す。(月波与生)

山に立つ仁王像より詐欺電話 山田真佐
 ~仁王像という伝統的な威嚇の象徴と、詐欺電話という現代の不可視の脅威を比較級で並べ、後者の恐ろしさを浮き立たせる。仁王が本来担うべき「威嚇」の機能が電話一本に取って代わられている批評が効いている。(月波与生)

金ぴかの絵画冷えピタには向かず クイスケ
 ~高尚とされる「金ぴかの絵画」と、極めて生活的な「冷えピタ」の落差。異化の手法として秀逸で、芸術の格式を体温冷却シートという即物で測るユーモアが効いている。「向かず」という言い切りが断定的でありながら軽妙で現代川柳らしい一句。(月波与生)

週末のプールで貝になりすます 七澤銀河
 ~プールという開放的な非日常の中に、貝への変身願望を置く二物衝突。「なりすます」という言い回しが単なる比喩を超え、演技性・韜晦の匂いを帯びる。週末という解放感と、貝という閉じた殻の対比が効いており、社会的自己を一時的に脱ぎ捨てる仕草として読める。(月波与生)

どうしても縦に置きたい天の川 しまねこくん
 ~あまりにも綺麗だったので保存することにしたんです。縦のイメージがあったので縦に置きたかったのですが横になってしまいました。(季川詩音)

スポンサーリンク

第286号句会報ダウンロードはこちらから

第286号句会報(PDF)

タイトルとURLをコピーしました