さみしい夜の句会報 第285号を発行しました

さみしい夜の句会
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Myriams-Fotos ( Pixabayより

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さみしい夜の句会報 第285号(2026.8.2-2026.8.9)

第285号の参加者は31名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

最近、川柳の推薦句には極力評を入れるようにしています。句会を名乗る以上、「どこが良かったか」を言葉にすべきだと思うからです。時間の制約上、全句に評を付けることはできませんが、「この句の評がほしい」というご要望がありましたらDMください。

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◆ 参加者(31名)

クイスケ、七澤銀河、汐田大輝、山田真佐明、鈴木正巳、佐井杜有、カオルル、しまねこくん、石川聡、もふもふ、奇妙丸、非常口ドット、ひよどりよりこ、Nichtraucherchen、水の眠り、宮坂変哲、青海波、涼、天然石アクセサリーkiki’s、akao、空野つみき、雨声、笛地静恵、季川詩音、まどけい、雷(らい)、しろとも、不思議な話のアイン、桑原 雑、まんさく中村、月波与生

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◆ 川柳・俳句

週末のプールで貝になりすます 七澤銀河

音程を外すaikoとカブトムシ 七澤銀河

猫の日に猫がバンドネオンになる クイスケ

金ぴかの絵画冷えピタには向かず クイスケ

乳腺が痛むサロメと沖合いへ クイスケ

山に立つ仁王像より詐欺電話 山田真佐明

那覇に降る豪雨のあとの冷や奴 山田真佐明

グリとグラきっと銀歯もギラついて 汐田大輝

取り皿にピンクの首を載せておく 汐田大輝

性格の悪い老婆に癒される 汐田大輝

海彼から聞こえる死後の佐渡おけさ 汐田大輝

地動説は山葵の味がするはず アイン

バックルームが発情してる アイン

東スポで叩いた蠅が宇宙人 しまねこくん

前編と後編に分け秋日傘 しまねこくん

秋だから昼寝に午後と午前の部 しまねこくん

添加物一切無しの秋の尻 しまねこくん

燕子花 大人をゆるさないアジト 空野つみき

彼女って紹介される残暑かな akao

西瓜からのびるウォータースライダー 佐井杜有

峰雲やわれら中年合唱団 カオルル

夏痩せやひとの悪口言ふなかれ カオルル

   *

すぐ捨ててしまう心のメモ帳 石川聡

炎昼やスマホひとつでイートイン もふもふ

東の 空も焼かむか 後朝よ 奇妙丸

拒まれた花を沈めて泉去る ひよどりよりこ

ヴォランティアてふ共犯者 Nichtraucherchen

ママ猫は叱りつけたりしていない 宮坂変哲

風呂の蚊を ミストサウナで 退治した 涼

あの雨はもう要らないと 黒い傘をさす 天然石アクセサリーkiki’s

原爆忌排水溝に水ひとつ 季川詩音

伝わらぬ自嘲としての郷秀樹 雷

真夜中に川柳作る箸の日や  まどけい

干渉はされたくないの洗面器 しろとも

無為なれば見るものもなき走馬灯 桑原雑

   *

ぬるま湯に沈むスプーンの裏の顔 月波与生

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◆ 短歌

タラレバも酒の肴にこの夜の一興にして明かそうよ レバニラみたいな。美味しそう。 青海波

人間を失格してる獣なら この心咆哮しても許されたし 青海波

勢いで上京をする単線の脇で見送る向日葵の花 水の眠り

   *

この夜は私のものだ私だけ救う一首があって良いだろ 非常口ドット

だくだくと汗だくとなる夕ぐれのいいだくだくと駒をならべて 笛地静恵

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◆詩・短文  

 ※投句作品なし

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◆作品評から

登録の背番号から1を引く 山田真佐明
 ~「1を引く」という算術的な操作の提示が、選手の引退・戦力外といった生々しい人事を数式の裏に隠す。二物衝突は「登録」という制度用語と「引く」という即物的動詞の間にあり、背番号(記号)を異化する不条理な操作が人間の個性を否定する。(月波与生)

余らせた寿命は蝉として過ごす しまねこくん
 ~「余らせた寿命」という発想が秀逸。寿命は使い切るものなのか、余るものなのか。その奇妙な問いを「蝉として過ごす」という大胆な転生へつなげている。蝉の短い成虫期間を思えば、「余らせた寿命」との取り合わせには逆説もある。人間として使い切れなかった時間を、蝉になって生き直すのかもしれない。死生観を扱いながら説教臭くならず、どこかユーモラスで、同時に切ない。余白の大きな句。(月波与生)

寝ぐらから山椒魚は出て来ない 汐田大輝
 ~山椒魚は本来、岩陰や水中に潜み、容易には姿を現さない。「寝ぐら」という人間的な言葉が入ることで、句は急に寓話的になる。「出て来ない」と言い切ることで、待っても現れないもの、もう戻ってこないものへの諦念も漂う。いつしか「自分自身」や「人生」の比喩にも見えてくる。(月波与生)

リスケした検診車にスカート挟む クイスケ
 ~「リスケ」という現代的な業務用語と、「検診車」(健診車)という極めて生活的な対象、さらに「スカート挟む」という身体的な失敗が一気に接続される。「リスケした」という事情を説明せず、いきなり事故の場面だけを提示するため、読者の頭の中で前後の物語が勝手に生まれる。(月波与生)

誰もフラミンゴになれなくて 歩く 岡村知昭
 ~一字空けを挟んだ「誰もフラミンゴになれなくて 歩く」という構成が、変身願望の挫折と日常への帰還を分節している。フラミンゴという優雅で非日常的な生物像に対し、二足で「歩く」という平凡な動作が対置され、その落差が哀愁を生む。(月波与生)

空中都市と新品の蛸 空野つみき
 ~「空中都市」という未来的スケールと「新品の蛸」という生々しい生活感の衝突。都市の抽象性に対し、蛸の質感・湿度・匂いが強く働き、SF的空間を一気に生活のレベルへ引き下げる異化が起こる。「新品」という語がさらに蛸を工業製品化し、生物と商品の境界を曖昧にする。(月波与生)

どの面が顔になるのか冷奴 しまねこくん
 ~冷奴という顔のない食品に「顔」を探す視線。豆腐の切り口はどれも均等で、顔になり得る根拠を持たない、その理解遅延が句の芯。顔という非匿名性な存在が匿名的な立方体に投影するという滑稽味と哀しみが同時に立ち上がる。(月波与生)

あと乗せのレタスを忘れたまま脱皮 クイスケ
 ~「あと乗せレタス」という即席的な食の記号と「脱皮」という生物的変容が二物衝突を起こす。脱皮という荘重なはずの出来事が、ファストフード的な軽さで処理される逸脱強度が魅力な句。(月波与生)

バリカンが巨大な嘘をついている 汐田大輝
 ~バリカンという無機質な道具に「巨大な嘘をつく」という人間的所業を接続する二物衝突。整髪具は本来「削ぎ落とす」機能を持つが、削ぎ落とすほど何かを隠蔽している逆説が嘘を生む。「巨大な」の誇張が日常道具への異化作用を強めている。(月波与生)

東スポで叩いた蠅が宇宙人 しまねこくん
 ~いい!(東スポが効いてるネ(まんさく中村)

添加物一切無しの秋の尻 しまねこくん
 ~何事かと思ったらまさかの尻でした。知りたくありませんでした。添加物無し、これは健康にいいのか悪いのか。(季川詩音)

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