さみしい夜の句会報 第282号を発行しました

さみしい夜の句会
スポンサーリンク

画像提供:PublicDomainPictures ( Pixabayより)

スポンサーリンク

さみしい夜の句会報 第282号(2026.7.12-2026.7.19)

第282号の参加者は38名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

Xの仕様変更にて、リポストがTLから追えないようです。また、位置情報が自動的にONになったり気軽に続けられない状況にあるようです。度重なる仕様改変は今後改善されるとも思えないので #さみしい夜の句会 は区切りの300回までは併用しますが、301回からBluesky単独運用とします。参加者のみなさま、徐々にBlueskyでの参加をお願いします。

スポンサーリンク

◆ 参加者(38名)

クイスケ、七澤銀河、しろとも、山田真佐明、しまねこくん、カオルル、もふもふ、雷(らい)、桑原 雑、雨声、何となく短歌、雪平千星、鈴木正巳、なさわご、Nichtraucherchen、あづみのマルコ、ひよどりよりこ、青海波、田中美蟲角、宮坂変哲、石川聡、水の眠り、奇妙丸、天然石アクセサリーkiki’s、akao、汐田大輝、鈴音りんか、砂のような、非常口ドット、非常識犬猫苑、まどけい、季川詩音、笛地静恵、空野つみき、不思議な話のアイン、慈安 黒冬、若菜あずき、月波与生

スポンサーリンク

◆ 川柳・俳句

Xが物干し竿と化す真昼 七澤銀河

マスキングしてよ心音を消してよ クイスケ

痒いへそペコちゃんの年齢も知らず クイスケ

右足を土踏まずして泳ぎだす 山田真佐明

デメキンがカランコロンと陶器市 汐田大輝

虹鱒になりたい欲が強い村 汐田大輝

茄子故のヒヤリハットの事例集 しまねこくん

素麺の次に流れる宇宙船 しまねこくん

シャンプーで体を洗ふ髪洗ふ しまねこくん

公の場では一応蝸牛 しまねこくん

句の中の「を」の字のなかの我である 雷

サングラスかけて嬰児眠りたる カオルル

裸体が疎ましい・パラソルのめまい 空野つみき

   *

ひざ下の去年の傷がはためいて しろとも

危機管理忘れてヒッチコックの日 もふもふ

月白の蒼き光に黄金虫 桑原 雑

眠れずに星と羊を数える夜 なさわご

回覧板の裏を読む Nichtraucherchen

機を待てば豆腐銀河へ靴笑う あづみのマルコ

夏木立影なき道の影になる ひよどりよりこ

「冷やし中華始めました」の旗光る 田中美蟲角

ノーヘルでイキるニイチャンスイカ割り 宮坂変哲

ホオズキのオズが魔法の色になる 石川聡

灯しては 瞬き消ゆる 思ひかな 奇妙丸

遠雷を追って母の中へ還る 天然石アクセサリーkiki’s

君の手が一つ拐った夕蛍 akao

角を曲がれば角がある街 鈴音りんか

ひまわりの明るき色を信じない 砂のような

青梅や赤子の目には二進数 季川詩音

処方箋四日すぎれば処方せん 笛地静恵

向日葵の咲かない夏や図書館へ まどけい

コピペした自分を探してるゾンビ  アイン

   *

抽象画になって光るのをやめる 月波与生

スポンサーリンク

◆ 短歌

目薬の湖に潜水夫がひとり どこか異質な問いかけをする 雨声

いつからか真夏の空になっていてこの季節にも置いて行かれた 何となく短歌

悲しみの沈む水底手を入れて泣きたい日もある夜のおはなし 雪平千星

何時だって風に幽かに煙の匂い向日葵達が焼かれている 青海波

君の帰路にゲリラ豪雨が降ったでしょう差出人は泣けない私 水の眠り

もしぼくが鳥になったら鳴き声は「タンカタンカ」で真夜中に翔ぶ 非常口ドット

ハニーバターローストカラメルピーナッツ 最近きみはあの娘とばかり 非常識犬猫苑

夜中には泣かない神は不自由で世界を少し狂わせたくなる 青海波

スポンサーリンク

◆ 詩 ・ 短文

小さなこころ
大きなことば

病んでは嘆く
堪らぬ痛み

包帯を解く
こころの包帯を解いて
嫉妬した柔らかな手
優しい眼差し

ああ
これを恋というのか
このいたたまれない
わずらわしい熱情を

余計なひとこと
洗いざらい話す

病んでは嘆く
こころの歪み

包帯を解いた
こころの包帯を解いた
自分の手で
柔らかくなった
優しい眼差し (山田真佐明)

スポンサーリンク

◆ 作品評から

すこしずつ余白ふやして霧になる 小沢史
 ~「余白をふやす」が社会的役割や自意識を一枚ずつ手放す過程を連想させ、行き着く先が形を持たない「霧」であることに逆説的な救いがある。抽象度が高い分、具体的な景を欠く危うさもあるが、忙しなさから静かに消えたいという憧憬を詩的に綴る。(月波与生)

大夕焼伸びる渋谷の自撮棒 カオルル
 ~街を赤く染める大夕焼と、過密都市で高く掲げられる自撮り棒のコントラスト。「伸びる」の主語が夕焼けか自撮棒か曖昧なまま重なる仕掛けが巧みで、今の都市風景と若者の生態を俯瞰する視線に批評性を感じた。(月波与生)

混ぜないでペッパーランチ食べる父 非常識犬猫苑
 ~豪快に混ぜて完成させる料理を、あえて混ぜずに食す父。店の作法や世間の「普通」に染まらない頑固さが透けて見える。(月波与生)

シャンプーで体を洗ふ髪洗ふ しまねこくん
 ~『 リンスインだと普通なんか よおわからんけどまあええか 』 『 ワシ等の歳だとワシ等田舎で 若いひと等は若いひとだし 』(慈安 黒冬)

撥条・こころが・こころがせまい 空野つみき
 ~中黒(・)による独特のテンポと、ゼンマイ(撥条)という硬質で機械的なモチーフが、精神的な余裕のなさを伝える。ネジを巻かれすぎて今にも弾けそうな心の限界。リフレインされる「こころが」という言葉の乱れが自分自身をコントロールできなくなっていく息苦しさを感じさせる反面、音の実験がやや先行している印象も残る。(月波与生)

地獄めくものをひっそり裏返す 雷
 ~日常のすぐ裏側にある「地獄めくもの」(それは他者への悪意、あるいは直視したくない現実でしょうか)を、誰にも気づかれぬよう「ひっそり」と裏返して隠す。何を裏返しているか具体を伏せた分、抽象に流れる一歩手前で踏みとどまり、読者の背筋を冷やす強度を保っている。(月波与生)

親一人蚊一人誤植ではなくて しまねこくん
 ~「親一人子一人」という定番句形を「蚊一人」へずらす仕掛けが巧み。「誤植ではなくて」と念押しする語り口が逆に読者の誤読を誘う。可笑しさと寂寥感が同居する、言葉遊びの妙が光る一句。(月波与生)

心電図政治批判の代弁者  七澤銀河
 ~波打つ心電図のグラフを、社会や政治に対する人々の怒りや不安の「声」に見立てた。無機質な医療器具の波形が、実は最も生々しい市民の抗議(血圧の上昇、ウイルスの流行など)を代弁しているという。(月波与生)

公の場では一応蝸牛 しまねこくん
 ~礼儀みたいなものですよね。相手を不快にさせないようにとりあえず蝸牛として振る舞う。(季川詩音)

ウクレレをサッカーしても離さない  山田真佐明
 ~ウクレレを足で蹴る「サッカー」という不可能な行為をしながらも、決して手放さない矛盾。蹴る/離さないという相反する動作を同時に成立させることで、意味の整合性を壊し、身体だけが暴走する構図が生まれる。なぜウクレレか、なぜサッカーかという問いを最初から拒絶する強さがこの句の推進力になっている。(月波与生)

内耳からはみ出てしまう油蝉  佐井杜有
 ~単なる「うるささ」の形容を超え、蝉の音量そのものが器官の容量を超過し、鼓膜の内側から外側へと溢れ出してくる感覚に変換されている。この句の強度は、「はみ出る」という動詞の選び方にある。蝉の実体が耳から這い出てくるわけではない。音という不可視のものが、あたかも質量を持つ生き物のように内耳の限界を突破していく。その錯覚を一語で成立させている点が巧み。(月波与生)

また来たよと言ったきり動かない防人たちの合唱コンクール / 牛田悠貴
 ~現代の日常である「合唱コンクール」に、遥か昔の防人たちの亡霊が紛れ込んでくる。「また来たよ」という一言が要になる。この「また」は、彼らが幾度となくこの場所に立ち返り続けてきたことを示唆し、防人という存在そのものが背負う「帰還できなかった者たちの反復」を一語に凝縮している。合唱という「声を揃える」行為の場に置かれることで、彼らの沈黙は逆説的に最も重いコーラスとして響き出す。歌わぬことで歌以上のものを響かせる。国家に動員され、声を奪われたまま還らなかった者の合唱コンクール。(月波与生)

暴力は生椎茸の味がする  汐田大輝
 ~殴られて口の中を切ったときの、鉄錆に似てどこか土臭い、生温かい血の味。この句は、尊厳を毀損される理不尽さを、生椎茸という卑近で生々しい味覚へと直接落とし込む。暴力とは高尚な概念でも抽象的な力学でもなく、ただ不快で拒みたい「物質の味」として身体に刻まれる。その冷徹な事実だけを、句は言い訳なく差し出してくる。生椎茸という比喩が効いているのは、それが「傷そのもの」ではなく「傷を負わされた後、口の中にいつまでも残る後味」を指しているからだ。暴力の本質は加害の瞬間よりも、その後に延々と続く不快の残留にある。読み手は舌の記憶だけで理不尽の重みを引き受けさせられる。(月波与生)

嫌っている人に小指を差し出され  クイスケ
 ~「小指」が象徴する「指切り(約束)」という極めて親密な信頼の儀式。それを、よりによって「嫌っている人」から差し出されるという関係性の歪み。交わしたくない約束への拒絶感と、差し出された指の生々しい実在感。そんな沈黙の心理戦が「指切り」というモチーフを通じてより一層際立ち、ざらりとした緊張感で包む。(月波与生)

青梅や赤子の目には二進数 季川詩音
 ~二進数という表現が面白いですね~(若菜あずき)

回覧板の裏を読む Nichtraucherchen
 ~物理的な裏なのか、あるいは空気を読む的な意味の裏なのか。空気を読む的な意味の方であればめちゃくちゃ面白いなと思いました。ゴミの回収とか、恐ろしいことになりますね。(季川詩音)

コピペした自分を探してるゾンビ  アイン
 ~あまりにも現代的です。コピペがすごく良い。まさにこれが現代川柳ではと思います。状況もとても面白いです。(季川詩音)

スポンサーリンク

第282号句会報ダウンロードはこちらから

第282号句会報(PDF)

タイトルとURLをコピーしました