さみしい夜の句会報 第279号を発行しました

さみしい夜の句会
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Aernout BowmanによるPixabayからの画像

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さみしい夜の句会報 第279号(2026.6.21-2026.6.28)

第279号の参加者は41名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

28日、仙台市文学館で開催された「ことばの祭典」に川柳部門の選者として参加した。参加者は160名を超え、例年の100名前後から大幅に増加。高校生・大学生が目立つなど、様相が一新していたことに驚かされた。残念ながら川柳部門は俳句・短歌部門に比べてやや年齢層が高かったが、最近の活性化ぶりを見ていると、まもなく両部門に追いつくのではないかと睨んでいる。

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◆ 参加者(41名)

クイスケ、七澤銀河、桑原 雑、なさわご、鈴木正巳、小沢史、しまねこくん、汐田大輝、岡村知昭、カオルル、Nichtraucherchen、鈴音りんか、雨声、山田真佐明、空野つみき、石川聡、田中美蟲角、涼、奇妙丸、ひよどりよりこ、青海波、しょうこ、あづみのマルコ、大山 晶子、山代甘倫、akao、雷(らい)、麻乎a.k.a踊る最後尾、まどけい、しろとも、宮坂変哲、山羊の頭、季川詩音、水の眠り、不思議な話のアイン、片羽 雲雀、慈安 黒冬、IMAGINEママ、アカリ、影乃 真由、月波与生

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◆ 川柳・俳句

虹色の瞳をしぼり出す潤夜 クイスケ

旨い早い安い遠いディスカッション クイスケ

前脚で自動扉に触れる蜂 七澤銀河

人間を鍵と螺子とに分ける夏至 しまねこくん

冥土まで杖か日傘か選ばせる しまねこくん

橋本の家に橋本呼んで夏至 しまねこくん

窓枠を窓がはみ出る夏休み しまねこくん

夏の宵泣けばあやしてくれるのか しまねこくん

煮浸しの茄子の誘いも梅雨のなか 片羽雲雀

がんばって中途半端なクズになる 宮坂変哲

西瓜ップほどは無くても佳しとする  田中美蟲角

昼顔に絡まれてをり石仏 田中美蟲角

はつなつにはさんだままのしおり紐 しろとも

夏しぐれ目刺しの海を焦がすなり 石川聡

古川柳からはみ出るデボン紀の小枝 汐田大輝

まだ自我の足りない風が揺らす窓 汐田大輝

聴診器からあふれだすカーマイン 空野つみき

酔っている麓の小屋でおにぎらず 山田真佐明

夏至の夜の静かな森のやうに雨 カオルル

失物は出るが手間取る蟹赤し カオルル

不老不死の金の生る木の焼け残る 岡本知昭

水掻きをしまい忘れてしまうなり 小沢史

   *

ふたたびはあらじと斑鳩の響く声 桑原雑

明日のため信じた愛をプリザーブ なさわご

出たな怪盗赤頭巾 Nichtraucherchen

包囲されてる庭 オシロイバナの居心地 春は霞を喰らう 鈴音りんか

この空は 去られた夜の わがひとみ 奇妙丸

雨濡るる墓に詫びるや蟻地獄 ひよどりよりこ

寂し寝の 雨の音聴く 午前にじ しょうこ

生チョコは舌液状化 震度4 石川聡

空き枕涙に熱の無くて蚊帳  akao

谺には死ねとまざりしおもしろさ ひよどりよりこ

傾いた記憶の廊下としての蟹 雷

濡れなばや ひとときのみの 夜を通し 奇妙丸

やさしくてあたたかい人抱かれたい 山羊の頭

5億倍ねんぶついふて地獄行くわ 大山 晶子

寝不足のワールド杯や天ぷらの日 まどけい

木の芽山あいつも生きるはずだった 季川詩音

これは木っ端微塵になったドリアン アイン

   *

折り鶴の首を折るときだけ真顔 月波与生

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◆ 短歌

キャベツだと言いそびれシュークリームはスイーツと言う役職に就く 七澤銀河

ランニングマシーンの画面の両どなりイラン情勢おなじにうつす 水の眠り

「早くりんごを剥かなくちゃ」吾の苦しみが誰の慰めになればよい 雨声

   *

台風で外は嵐でスゴイ雨家屋の中で寝れるの感謝 涼

わたくしがかみなりぐもをたべたので あすやへそのしんぱいなどせずねむるがよい 青海波

傘立ては降りやまぬ日の港にて帰れぬままの傘が君なり あづみのマルコ 

男ってすぐにパクるし真似するし指摘をすれば怒鳴るし殴るし 大山晶子

落つる日に少し寂しやアマリリス 田中美蟲角

蘇る 辛い記憶と 惨めな記憶 そんなんだけど私は生きてます 山代甘倫

ありがとう 私の欠片がそこここに散らばってるから 掃いといて 麻乎

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◆ 詩 ・ 短文

ややや、亀さんのギターを持つ手は、するりと長くなった。ことば漬けの玉こんにゃくを、炒めてカラカラにした思い出は、亀さんのギターの音色を浴びてするりとまぁるくなった。はて?お主は?いややや、こだまでござりまする。亀さんのギターのこだまでござりまする。(山田真佐明)

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◆ 作品評から

夏の宵泣けばあやしてくれるのか しまねこくん
 ~『 みんなが持っとるって言って よお泣いたけど みんながはいけんって 言われてまた泣いたのを 思い出します あめの朝です 』(慈安 黒冬)

生チョコは舌液状化 震度4 石川聡
 ~なんとも絶妙。震度4があった。でも、液状化したのは生チョコだった。これは安心すべき出来事だと思います。道路だったらと考えるだけで恐ろしい。(季川詩音)

昼顔に絡まれてをり石仏 田中美蟲角
 ~素晴らしいと思いました (IMAGINEママ)

わたくしがかみなりぐもをたべたので あすやへそのしんぱいなどせずねむるがよい 青海波
 ~まっくろのよぞらいろのねこののど かみなりまとめてとじこめてみた さみしい夜の句会のハッシュタグ、たまに借りてます。(麻乎a.k.a踊る最後尾)

傘立ては降りやまぬ日の港にて帰れぬままの傘が君なり あづみのマルコ 
 ~雨の日の傘立てが港に見えてくると、置き去りの傘がぜんぶ誰かの帰りを待ってるみたいに思えてきますね。帰れないままの一本、というのが静かに残ります。(アカリ)

前脚で自動扉に触れる蜂 七澤銀河
 ~めちゃくちゃ恐ろしいですね。そのまま刺されるシーンまで思い浮かべました。会社?店?家?いずれにせよ嫌な光景です。(季川詩音)

傾いた記憶の廊下としての蟹 雷
 ~傾いた廊下に蟹…私もそこにいる(影乃 真由)

姿勢よし日傘の男子高校生 カオルル 
 ~現代の街角を切り取った、清々しいポートレートのような写生句。かつては女性のものとされた日傘を、男子高校生が堂々と差している。その「姿勢よし」という描写が、ジェンダーの境界を超えた若者の、てらいのない自立心を際立たせている。(月波与生)

水風呂へ一緒に入る冷奴 しまねこくん
 ~どこか愛らしく、涼しげでクスッと笑える擬人化のセンスが光る。サウナの後に水風呂へ飛び込む人間と、冷たく冷やされる冷奴(豆腐)。その両者が「一緒に入る」という表現によって、同じ浴槽に浸かっているかのような、奇妙でシュールな同居感がある。(月波与生)

湯切りするたびに地面が揺れ動く クイスケ
 ~日常のありふれた一コマから、突飛でユーモラスな巨視的スケールへと飛躍する現代川柳らしい句。湯切りをする人の異常な力強さを想像させると同時に、世界の均衡が実はこんな身近な動作で揺らいでいるのかも、という奇妙なSF感も漂う。(月波与生)

たましいを汚して拾う詩であった 雷 
 ~自らの「たましいを汚して」初めて掴み取ることができた言葉、それが「詩」であるという自己言及的な告白。創作という行為に伴う痛みや罪悪感、そしてそれでも書かずにはいられない諦念と救いが、この十七音の中にある。(月波与生)

まどろみの火照りを醒ますジャムセッション 桑原雑
 ~心地よい気怠さと、そこからの鮮烈な覚醒を描いた共感覚的な魅力に満ちた句。ジャムセッションという言葉の持つ躍動感とグルーヴが、気怠い空気を一気に爽快なスピード感へと塗り替えていく。

遺伝子の一部をYにすり替える 七澤銀河
 ~SF的な不穏さと、生体への冷徹な介入を想起させるスリリングな一句。「すり替える」という主体の意思によって、生命の根源である遺伝子(おそらくXからYへの性染色体の変更、あるいは未知の因子「Y」)が書き換えられる。その行為の持つディストピア感が表現されている。(月波与生)

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