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さみしい夜の句会報 第277号(2026.6.7-2026.6.14)
第277号の参加者は47名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
21日は文芸フリマ岩手に久々に参加します。B-32でとなりは「らむねくり」の山田真佐明さんです。忙しくて準備はこれからですが記念品作ります。近郊の方(といっても岩手、秋田、青森、ギリ宮城ですが)は遊びに来てください。
◆ 参加者(47名)
クイスケ、七澤銀河、しまねこくん。松本清展、汐田大輝、Nichtraucherchen、カオルル、つきの さかな、蔭一郎、あづみのマルコ、非常口ドット、桑原 雑、青海波、akao、田中美蟲角、空野つみき、山田真佐明、宮坂変哲、叶裕、鈴木正巳、雪夜彗星、しょうこ、水の眠り、もふもふ、なさわご、雨声、佐井杜有、まどけい、雷(らい)、なごみ、しろとも、笛地静恵、石川聡、山代甘倫、涼、雨宮 湖都、舞風 奏、季川詩音、不思議な話のアイン、あしあと、片羽 雲雀、ふくろうたかこ、nori、大山 晶子、山谷摩耶、emaki、月波与生
◆ 川柳・俳句
ミスト越しにケアラー癖の抜けぬ夜 クイスケ
サロメから村の匂いがするベッド クイスケ
たこ焼きはお好み焼きに匿われ 七澤銀河
菫まで折るな貴様は送風機 なごみ
甘藍や悪も赤子も産み捨てる しまねこくん
虫取りのどこで鈍器は必要か しまねこくん
笑ひたきや笑へ人間失格忌 しまねこくん
ジャイアント馬場を齢で越える夏 しまねこくん
Led Zeppelinを聴きて春の夜 山田真佐明
八戸の灯りが好きで田尾安志 山田真佐明
二十年擬態もせずに鶴のまま しろとも
台本の代替肉を凝視する 空野つみき
棘のないエクレアにもう飽きている 空野つみき
去年からとっくにネアンデルタール 汐田大輝
踏切を渡りきれずに飲むジュース 汐田大輝
ステップを踏んで甲羅を脱ぎ捨てる 汐田大輝
輪投げ輪投げ輪投げ輪投げ輪投げ晴れ 蔭一郎
ハミングの一拍ずれた蟹の穴 蔭一郎
背中より抱かれし後の蛍かな カオルル
よく吠える犬をからかふ蛍かな 田中美蟲角
硝子玉割れて夜霧が深くなる emaki
*
兎と亀と猿と蟹 Nichtraucherchen
FUKUZOの開襟シャツやソーダ水 akao
人生についてトイレで考える 宮坂変哲
天の川銀河鉄道ひとりきり 雪夜彗星
自分の本音を溢(こぼ)せる 人がいない しょうこ
麦の秋わたくしオータム旨い飯 もふもふ
絹糸でもこじれた糸は切れるのみ なさわご
煮崩れた入道雲をつつく鳩 佐井杜有
空いた時間を洗う一点 雷
精液の夜に創られる酷暑哉 笛地静恵
コンビニで傘を買い急ぐロックの日 まどけい
過去ツイが突如消失なぜだろう 涼
思い出の端と端には彼がいる 季川詩音
コスプレイヤーが空に突き刺さった アイン
すすきのの ネオン抱いて寝る子供 あしあと
紫陽花に隠した嘘を笑う雨 片羽雲雀
悲しかったと今さら気づく夏日 ふくろうたかこ
*
すくすくと育ち誰かを刺す予定 月波与生
◆ 短歌
眠れない夜の眠らせないコーナー詩かて詠めるがけふはやめとく 松本清展
だれも皆いつかひとりになるのにねひとりを恐れ群れを作るの つきの さかな
潮だまり覗けば空が沈みいてあなたの嘘も青く透けたり あづみのマルコ
カーテンの上から漏れる街灯は切り取り線だ まっくらぼっち 非常口ドット
桜桃忌 雑に散らせよ手向花 衣乱るる乙女の肌に 桑原 雑
明々とコンビニの島ここは孤島 油と排ガスそして紫煙が 青海波
墓を継ぐ荷物は重いなめらかな撫で肩にして子宮からでる 水の眠り
殻を飛ばす風小さき身体譚歌になり土に忘れし赤い嘴 雨声
振り返る 誰かいたはず 歩いてた… でもいつから独りなの? 山代甘倫
顔も名も互いに知らずでも此処で どう見えますか? そこから私 舞風 奏
◆ 詩 ・ 短文
灰色の厚い雲が西へ流れていく
向こうの山は黒く突起して
中庭の木々は黒く生い茂っている
小鳥はさえずりながら
木から木へ飛びまわる
ラジオが昼を告げ
風が昼になる
彼女は夜を待つ
昼のままで
彼女の昼のままで (山田真佐明)
◆ 作品評から
背中より抱かれし後の蛍かな カオルル
~いつも拝見しております とてもすてきで、悲しくなりました(nori)
棘のないエクレアにもう飽きている 空野つみき
~雷という意味ですものね(大山 晶子)
去年からとっくにネアンデルタール 汐田大輝
~まさにいま進化の過程にいる。その証拠ではないでしょうか。または、逆に世の中に飽きて退化してしまったのかもしれません。(季川詩音)
絹糸でもこじれた糸は切れるのみ なさわご
~頑丈そうに見えても、少しでもこじれると切れてしまう。現代の人間関係を表現しているように思いました。「のみ」の言葉の強さ。これが儚い気がします。(季川詩音)
火星人来るなら夏の暁に カオルル
~日常の退屈や閉塞感を一撃で破壊してくれる「圧倒的な異物(火星人)」へのディストピア的憧憬。どうせ日常が壊れるなら、最も美しい「夏の暁」のグラデーションの中で消え去りたいという美意識。(月波与生)
潮だまり覗けば空が沈みいてあなたの嘘も青く透けたり あづみのマルコ
~嘘と言えば赤と白のイメージしかありませんね。青く透ける嘘とはどんなものなのか気になります。(山谷摩耶)
たこ焼きはお好み焼きに匿われ 七澤銀河
~可愛くて楽しくて、いかにも匿われてそうで美味しそうな句。(石川聡)
コスプレイヤーが空に突き刺さった アイン
~きっとヒーロー系なのだと思う。偽物だから飛べるわけないのに無茶をしてしまった。その結果、飛んでしまい突き刺さった。(季川詩音)
ジンクスの人には言えぬ周波
~雷 自分だけのルーティンや迷信。それは他者から見れば無意味な奇行だが、本人にとっては世界のノイズから身を守るためのチューニングと言える。私たちは皆、他人とは共有できない独自の「周波数」を受信してかろうじて正気を保っている。(月波与生)
カニカマのゆるい連帯感が好き 汐田大
~ 本物を諦めフェイク(偽物)だと割り切った関係性にこそ「居心地の良さ」を感じてしまう現代人の心理。重い責任や濃厚な血縁を避け、いつでもほぐれて離れられる「カニカマ」のような、脆くもドライな距離感。それを「好き」と肯定する温さに、現代的な人間関係の生存戦略とその裏にある寂しさが見える。(月波与生)
インディーズバンドのいない冷蔵庫
~空野つみき 私たちが普段いかに「自分の部屋(冷蔵庫)」に他者の気配や、熱量の残像を求めてしまっているかを浮き彫りに。静まり返った家電の冷気と、生活の無機質さ。そこには、「何かが劇的に起きるはずだった人生」の現実が虚しく冷やされている。(月波与生)
さざ波は有給休暇消化中 七澤銀
~さざ波の不規則な揺らぎすら、資本主義のシステム(有給消化)という眼鏡を通してしか愛でることができない現代人のコード。癒やしの風景に見えて、実は日常の全ドメインが「仕事のコード」に支配されている日常を描き出します。(月波与生)
イメージと違う重みのあるたらこ クイスケ
~「たらこ」というポップな記号に私たちが抱く軽快なイメージ。それが、持ち上げた瞬間のリアルな重量感によってガツンと裏切られます。この句の面白さは、私たちが普段いかにCMや他者の言葉といった「支配されたイメージ」でモノを見ているかを、たらこ一腹で自覚させる点にあります。身近な認知のバグを突くことで、日常の予定調和に潜む違和感を感じさせる句。(月波与生)


