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さみしい夜の句会報 第276号(2026.5.31-2026.6.7)
第276号の参加者は38名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
『現代川柳 満天の星』第8号は、会員・誌友・投句者の皆さま全員への発送を完了いたしました。
お手元に届いていない場合は、郵送事故の可能性がございますので、メールまたはDMにてご連絡ください。
◆ 参加者(38名)
クイスケ、七澤銀河、カオルル、しまねこくん、大山 晶子、もふもふ、水の眠り、あづみのマルコ、Nichtraucherchen、岡村知昭、しろとも、桑原 雑、ふくろうたかこ、空野つみき、汐田大輝、雨声、鈴木正巳、宮坂変哲、akao、東こころ、まどけい、田中美蟲角、なさわご、なごみ、川瀬十萠子、蔭一郎、山田真佐明、どく、雷(らい)、季川詩音、非常口ドット、石川聡、鯖詰缶太郎、三明十種、不思議な話のアイン、霧雨魔理沙、青海波、月波与生
◆ 川柳・俳句
五匹の犬がパパ活で食う クイスケ
イメージと違う重みのあるたらこ クイスケ
さざ波は有給休暇消化中 七澤銀河
ユーグレナ元の姿を知らされる 七澤銀河
理科室の骸骨の目に雨蛙 宮坂変哲
国産の台風自動車税免除 しまねこくん
書き出しで終はる小説梅雨に入る しまねこくん
かき氷ブーケと同じラッピング しまねこくん
肺胞をくすぐる指に月の石 空野つみき
インディーズバンドのいない冷蔵庫 空野つみき
グルニエに月の言語の求人誌 空野つみき
人間が知らないはずのペガスス座 空野つみき
ジンクスの人には言えぬ周波数 雷
白南風を鋏で切った許嫁 蔭一郎
黒髪の雲の流れに打つ花火 蔭一郎
ユーカリのゆめゆめゆだんゆきとどけ 蔭一郎
カニカマのゆるい連帯感が好き 汐田大輝
バズるまで叩きつづける草津の湯 汐田大輝
カニカマのゆるい連帯感が好き 汐田大輝
何事もデッドボールな夜でした しろとも
紫陽花の家よりトロイメライかな カオルル
火星人来るなら夏の暁に カオルル
海峡に栞をはさみ昼寝する 佐井杜有
薫る夜に署名は不要 白水ま衣
白南風とバーテンダーが糸になる 片羽雲雀
*
下手くそな川柳詠むやオムレツの日 まどけい
ヤハウェどのyouは何しにニッポンへ 大山 晶子
蚯蚓鳴く螻蛄も鳴いた肝試し もふもふ
三国志だが水滸伝 Nichtraucherchen
法華経へ電気水母の怒りかな 岡村知昭
つみかねて のばすゆびさき ゆうのつき 桑原雑
カフェオレで恨みを流す ふくろうたかこ
五月雨傘真珠と百合とそれから akao
豆柴もたぶん幸せあなたより 東こころ
器量佳き猫と目が合ふ梅雨雲 田中美蟲角
ひたすらにただひたすらに働いて なさわご
AIの肌感覚が残る指 なごみ
泣いている月にもはたく天花粉 川瀬十萠子
観覧車マダムと紳士横浜市 山田真佐明
誰のものにもならないから君は星 どく
木の芽山初恋は遠きるるるるる 季川詩音
海峡の封鎖をまわす風車です 石川聡
青蛙 流木の上に乗っても セリフなし 鯖詰缶太郎
刈草や終日の嵩軽きなり 三明十種
紺碧の 宙と大地を 照らす月 霧雨魔理沙
*
美しい夜をきれいに汚しあう 月波与生
◆ 短歌
博物館君との恋を展示して出口の先で他人になる日 あづみのマルコ
返信の来ない画面は月までの距離ほど遠い君を感じる 水の眠り
システム上行ったことのない民泊が歓待してる会ったことのない人 雨声
満月の度に人語を忘れてく 狼少年にも束の間の朔 青海波
*
起きてると長くて寝ると短くてスマホで削る夜は重たい 非常口ドット
今日の川柳 アイスクリーム玉音放送味 アイン
◆ 詩 ・ 短文
投稿なし。
◆ 作品評から
FADO(ファド)にだけ心を開くハーモニカ 七澤銀河
~ポルトガルの郷愁と哀愁の民謡「ファド」の旋律に触れた瞬間、「ハーモニカ」が突如として固有の魂を宿す。他者には見せない孤独の核心を音に委ねる。(月波与生)
はつなつのガタンゴトンはダンゴムシ 蔭一郎
~初夏の明るい光の中電車の「ガタンゴトン」というジョイント音が、丸まる虫である「ダンゴムシ」の律動へとダイレクトに接続される。オノマトペが聴覚へと変換される日常。(月波与生)
級長はいつも正しくアマリリス カオルル
~梅雨時に咲くアマリリスの、脆さ融通の利かなさ生真面目さと、「級長」という学校の規律と正しさの象徴と対することで学校空間の歪みを照射。(月波与生)
カニカマのゆるい連帯感が好き 汐田大輝
~「カニカマのゆるい連帯感が好き」。作品としてもとてもゆるいと思います。川柳のタグがあったので川柳として読みました。川柳はこれぐらい自由でいいのではと思いました。(季川詩音)
火星人来るなら夏の暁に カオルル
~有人月面着陸に再度挑むのは、火星探査のための基地づくりと聞く。火星人は本当にいるのか。このままだと、火星人が地球に来るより、地球人が火星に行く方が早そう。だけど自分は、地球で火星人を出迎えたい。火星人はいる。地球にやって来る。夏の暁の空に、そう呟いてみる。(岡村知昭)
肺胞をくすぐる指に月の石 空野つみき
~肺胞 くすぐる指 月の石 三つの要素のイメージや語感。それぞれが離れていて、既に語の組み合わせとしての飛躍がありワクワク。各語のイメージや語感の衝突とスパークに惹かれます。衝突を微妙に導くのが助詞「を」と「に」。これでスパークが起こり、詩情が立ち上がる印象です。 肺胞をくすぐる指 とあるとき、通常は指が内蔵に届く訳がないのに届いているという、強引な言葉同士の接合があります。くすぐる指に月の石 くすぐるべく肺胞に触ったはずなのに実は月の石だったと読めます。肺胞はとても柔らかい。月の石は硬い。そして指。まずは触覚・触感が来る句です。指先の触感がまず脳髄に刻まれますが、読者は結語で肺胞の柔らかいイメージから一転、硬く冷たい月の石の触感へ転換させられます。その落差でシュールレアリスム的な詩情による川柳味が立ち上がるのを感じるのです。どのようにシュール=「現実離れ」「非日常的で奇妙」なのか? 肺胞は繊細で傷つきやすい薄い袋のような内臓。もっとも有機的なイメージ。そして人の一生100年前後の時間で消滅する儚さを象徴するものでもあるでしょう。対して月の石は約45億年の悠久と冷たい無機質・鉱物質のイメージが来ます。この二つの異質な時間を指がくすぐっています。指は異質な時間を強引につなぐ働きも。もしかして、この指は神の指なのかもしれません。異質な時間同士がシュールであり、それを繋ぐ指がシュールであり、イメージ同士の強引な結合がシュール。これらをうまく17音に収めて衝突させているところに掲句の巧さと醸し出される川柳味の躍如たるところがあるようにおもいます。 長文失礼&素敵な句をありがとうございました。(石川聡)


