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さみしい夜の句会報 第274号(2026.5.17-2026.5.24)
第274号の参加者は40名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
バラエティ番組で「嫌いな人の名前を言う」という企画があり、名指しされた人が「普通にいじめだろ」と本気で怒ったら、制作局が平謝りする騒ぎになっている。こういう場面はリアルでもよくある。ヘラヘラ愛想笑いをしていると、どんどん汚され傷つけられる。だから、我慢しないでマジで怒っていい。川柳をやっている人はメンタルに傷を抱えている方が多い、という印象がある。だからこそ、この句会ではどうか我慢しないでください。
◆ 参加者(40名)
クイスケ、七澤銀河、しまねこくん、汐田大輝、鈴木正巳、Nichtraucherchen、雪平千星、あづみのマルコ、織部ゆい、安藤 蜜豆、非常口ドット、雨声、カオルル、なさわご、真読の創作、水の眠り、塩の司厨長、砂原妙々、雷(らい)、akao、非常識犬猫苑、田中美蟲角、山田真佐明、しろとも、空野つみき、ふくろうたかこ、もふもふ、季川詩音、片羽 雲雀、まどけい、岡村知昭、山羊の頭、山代甘倫・裕春、大山 晶子、青海波、とるばどーる、David Tran Dam、若林陽光、月波与生
◆ 川柳・俳句
日陰にて左足から解脱する 七澤銀河
難解な英単語だけ胃に詰まる 七澤銀河
サロメより綺麗な耳を取り揃え クイスケ
お行きなさい胃もたれさまに呼応して クイスケ
水色の辞書に浜風夏めきぬ カオルル
髪ときてマーガレットは母の花 カオルル
子燕の駅舎に朝の来てをりぬ カオルル
落札のできない海は死にますか 汐田大輝
返す時金魚を入れておく花瓶 しまねこくん
あやされて震えが止まる除光液 空野つみき
皮膚のない場所にあたしを連れてゆけ 空野つみき
母の日の知らぬ子供の絵を批評 非常識犬猫苑
爪切りの残骸まるで今日の月 非常識犬猫苑
鉄橋に座ってみろよ卑弥呼だろ 岡村知昭
*
学校でしか出会へぬ詩 Nichtraucherchen
永遠の眠りのような接吻を 安藤 蜜豆
聖堂に天使ささめく蛍の夜 鈴木正巳
否定してそれ否定され落ちる水 なさわご
小夜に立つペトリコールとつばくらめ 砂原妙々
腹立たしい事ある楽な腕立て伏せ 雷
彼の人と似すぎる背中微雨と百合 akao
うらがへすお好み焼きの暑さかな 田中美蟲角
跳び箱の中でティッシュが夢をみる 山田真佐明
笑ってしまうのよざらめ色の空ら しろとも
闘う意味をゴミ拾い ふくろうたかこ
やさぐれた夜はピンクのコークハイ もふもふ
草餅やサッカーシューズは未使用 季川詩音
ああ五月蝿アイスクリームとけた魔法 片羽雲雀
日々疲れ戻ってくる波に乗り 山羊の頭
*
空腹は三人称の霧である 月波与生
◆ 短歌
タコさんとパトカーどっちがつよいのか真面目に答えてくれるAI 非常識犬猫苑
*
記憶などないのに勝手に治る痣左手首は贖罪の意味 雪平千星
白紙へと滲んでゆけるインクほど好きを隠した指が熱持つ あづみのマルコ
駅舎にて今日の薫りを掬う風 夜空に皆の涙、生ける夜 織部ゆい
それぞれのスターバートマーテル 記憶と苦痛、今日は少し窓を開けた 雨声
ぬるい湯と貴方の肌は馴染まない 風呂場にせめて私の影を 真読の創作
帰省する単線列車に菜の花はいつも子どもに戻してくれる 水の眠り
打ち寄せる白黒の波が途切れる事を恐れ眠れぬ夜がまた 青海波
終電だ俺もお前も月曜と金曜くらい違うけれども 非常口ドット
◆ 詩 ・ 短文
詩がどこにいるか分からないか
詩を感じるところ全てに
詩はあるはずだ
見つけたり触ったりできるし
君の中にも眠っている
ついでに言うと
詩と呼びようのないものの中に
息を潜めて呼ばれるのを待っている
そんなものもある
あの山だって今に詩の熱気で
燃えだすかもしれない(山田真佐明)
◆ 作品評から
終電だ俺もお前も月曜と金曜くらい違うけれども 非常口ドット
~金曜の終電の方がワクワクする気がします。翌日が休みなので。月曜の方はなんだか重い気がします。同じ終電なのに。不思議。(季川詩音)
小夜に立つペトリコールとつばくらめ 砂原妙々
~いつもいい御句や御歌ですね。(とるばどーる)
もののけの円周率は生ぬるい 汐田大輝
~「円周率」という数学的記号に、「もののけ」という前近代的な怪異をぶつけるセンス。合理主義で塗り固められた現代社会の隙間に、ぬっと現れる非合理の不気味さと愛嬌が同居しています。(月波与生)
拝啓で入る二次元からの夏 しまねこくん
~「拝啓」という古典的で丁寧な挨拶から始まることで、画面の向こう側の世界(二次元)が一気に現実のこちら側へと侵食してくるような気配を感じた。爽やかでノスタルジックな感性が光る。(月波与生)
手相見が見落として行く未来地図 七澤銀
~手相見が見つめているのは、過去の蓄積や決定論的な運命の線に過ぎないが、作者の未来はそんな狭い手のひらには収まらず、もっと広大な「地図」として外の世界に広がっている。(月波与生)
草餅やサッカーシューズは未使用 季川詩音
~日常の静けさと少しの寂しさが重なっていて余韻がありますね 使われないままのものに時間の流れを感じます。(David Tran Dam)
母の日の知らぬ子供の絵を批評 非常識犬猫苑
~「母の日の知らぬ子供の絵を批評」。この人は優しい母なのだろうか、この人は怖い母なのだろうかと考えてしまう。会ったこともないのに。もしかしたら、母がいなくて想像で描いた母なのかもしれない。我々はきっと偏見とともに鑑賞しているのだろう。(季川詩音)
学校でしか出会へぬ詩 Nichtraucherchen
~何らかの事情で買うのが難しく、学校以外で読むのが難しい作品はたくさんあると思います。そう考えると本当に一期一会だなと思います。(季川詩音)
跳び箱の中でティッシュが夢をみる 山田真佐明
~「跳び箱の中でティッシュが夢をみる」。跳び箱ってなんかティッシュに見える。ティッシュの生まれ変わりが跳び箱なのか、跳び箱の生まれ変わりがティッシュなのか。(季川詩音)
子燕の駅舎に朝の来てをりぬ カオルル
~カオルルさん。いいね!ありがとうございます(若林陽光)


