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さみしい夜の句会報 第244号(2025.10.19-2025.10.26)
第244号の参加者は60名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。#さみしい夜の句会 にて検索してもセレクトされない方がいらっしゃるようです。掲載のない方は管理人まで連絡を。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
#さみしい夜の句会 のタグを付けて毎日どなたかが投稿してくれる。これって考えてみれば結構すごいことなんじゃないかと思います。ここが始まったのは2021年2月ですがそれから1日の空白もなく誰かが更新している。今多くの川柳社が高齢化による会員減少に歯止めがかからず数年後には壊滅的なことになることが危惧されていますが、ここのタイムラインを読んでいると何か回避できるやり方はあるんじゃないかと思ってしまいます。
◆ 参加者(60名)
クイスケ、蔭一郎、もりや、しまねこくん、山田真佐明、空野つみき。千春、輪井ゆう、美蟲角(びちゅうかく)、ゆうたま、安藤 蜜豆、立嶋、水彩、西脇祥貴、鈴木雀、宮坂変哲、石川聡、小峯 漣、Nichtraucherchen、都まなつ、あしあと、西沢葉火、笛地静恵、片羽 雲雀、雷(らい)、汐田大輝、水の眠り、季川詩音、しろとも、石原とつき、三明十種、天然石アクセサリーkiki’s、鈴木正巳、夜ポエム寄る?、岡村知昭、ねるのいつ、青海波、ひいらぎ、なさわご、akao、カオルル、塩の司厨長、あづみのマルコ、まどけい、霧雨魔理沙、おがけん、江口ちかる、砂原妙々、佐井杜有、アリタ別館、範善、不思議な話のアイン、乙女の海外文学案内、溺れる水草。、星野響、よっちゃん、bakubaku、堀川朽葉、乱友 十兵衛、月波与生
◆ 川柳・俳句
あなたってたどたどしくて地獄だね クイスケ
白百合をほどよく押し戻す付箋 クイスケ
強そうなエンディング乳母忍び込む クイスケ
色鳥や誰でも良かった訳じゃない 片羽雲雀
宵寒にデスデモーナの護身術 片羽雲雀
半分でいいから柘榴ここに居て 片羽雲雀
秋声に熄む人類の発情期 星野響
剃り残しのせいで今夜は青い月 江口ちかる
粉砂糖さらさら顔が消えるまで 江口ちかる
愛液が満ちて重力から匂う アイン
骨で発光するまくら 都まなつ
ほっぺたはずっとさかさま 都まなつ
アジのひらきに鍵をさす 都まなつ
パズルピースを炒めます 都まなつ
とうもろこしの鍵がいる 都まなつ
サルビアと心にもないことを言う しろとも
忘れっぽい人と故郷を同じくする 雷
秋がある音叉としての詩をもって 雷
しゃっくりはキリンのせいで国のせい 岡村知昭
現在地不明あられもなくすすき 汐田大輝
スカボロウフェアの突端まで蒼い 汐田大輝
チェンソーの隙間に見える姉御肌 汐田大輝
ミンダナオでは神様も左利き 汐田大輝
茨城県民九割がテクノカット 汐田大輝
霧の中霧を運びしバイク便 しまねこくん
実柘榴の裂け目に入る自主規制 しまねこくん
ガムテープだけで隠した秋愁ひ しまねこくん
カタツムリ食べるマダムの鑑定士 山田真佐明
北極の白熊撫でるマダムかな 山田真佐明
霜降のおばけ屋敷にシド・ヴィシャス 蔭一郎
霜降の都立家政に昇る月 蔭一郎
ゴールデンデリシャスねむたげな机 蔭一郎
霜降がつのだじろうの窓を割る 蔭一郎
二の腕が時計になってゆく時間 蔭一郎
自動車のバックミラーに鶴渡る 蔭一郎
秋深しPayPayで買ふ虎グッズ 美蟲角
みぞおちはカボスとしては否定的 石原とつき
円盤のシャワールームに青金魚 空野つみき
しっぽから白磁にされる村娘 空野つみき
聞こえはいいが断薬は弾薬 もりや
いとしきはとがりしところ櫟の実 カオルル
*
ハトもイヌもワタシも等しく刺す蚊 輪井ゆう
西友という空母でも沈む街 ゆうたま
「さみしい」と月が呟いてるようで 安藤 蜜豆
秋入梅 君の名残ももう消える 水彩
中島みゆきという公案 西脇祥貴
見捨てられ不安みずから燃える星 鈴木雀
新聞紙文字を切り貼り脅迫文 宮坂変哲
うそ寒を連れて部屋入り夕の闇 小峯 漣
たまさかに金木犀や風の径 美蟲角
キラキラしない星たちよ Nichtraucherchen
うそ寒や首無し武者の首すくめ 笛地静恵
もうれつに父はきのこの真似をする 石原とつき
ほころびかけたアルマジロ 西沢葉火
爽涼や向かひの甍ひとむかし 三明十種
峯紅葉路譲り合ひすれ違ふ 鈴木正巳
ハイエナのあくびがとまらない線路 岡村知昭
黄熟して手締め三本 ねるのいつ
降るものよ冷まじき良きものであれ ひいらぎ
車窓から徒歩三分の虹かかる 季川詩音
気持ちだけ一日一善増産中 なさわご
ごめんねから始める会話星月夜 akao
風に彼岸花もじゃもじゃ黒く枯れ 石川聡
スラムプといふ屁 塩の司厨長
座るたび罪の形に沈むソファ あづみのマルコ
ラジオより はやくとびつく YouTube 霧雨魔理沙
寂しさは あなたが目覚める プロローグ おがけん
エヴァンスの浅き眠りや秋の雨 まどけい
勝新を蛍に替えて大団円 ゆうたま
オールトの雲を小匙でかきまぜる 佐井杜有
空の裏側あと何ページ アリタ別館
香風や移ろい感じる金木犀 範善
*
江戸川を流す人間椅子の群 月波与生
◆ 短歌
黒色にもきっと八色があって君と闇を共有できないヤマアラシ 青海波
風船に詰め込んで 悪態を空に逃がした 天然石アクセサリーkiki’s
*
ぶかぶかの Crocsのニセモノを借りた 冬限定のパルムを理由に 藤岡あや
地に落ちた星屑たちの上歩く 何だ案外、呆気ない、って あしあと
街角に回想シーンがあらわれる傘を手渡し過ぎ去るあなた 『想』 水の眠り
幸せのせいで生まれる感情も受け入れ君と生きていきます 夜ポエム寄る?
嫉妬とは夜の果実を噛むことよ甘さの奥で牙がひらくよ 砂原妙々
回想の君美しい夜は去り梔子色の残月ゆらり 溺れる水草。
◆ 詩 ・ 短文
乙女な始まりと後半の飛躍みたいなものは、4句だからこそのもの。 #さみしい夜の句会 に提出するなら、詩や短文にすればいいってこと? 頑張って七五調を習得したけれど、あくまでもパングラムは言葉遊びであって、作品としては評価されないってことなのかな。回文短歌のようにはいかないみたい。(乙女の海外文学案内)
◆ 作品評から
「さみしい」と月が呟いてるようで 安藤 蜜豆
~早すぎるコメントする失礼お許しください。ただただ、この作品好きです。(よっちゃん)
あなたから見れば谷折りでしたわね souko守宮
~なるほどこれば面白い。すぐ「あなたから見れば~でした」構文が増殖しないよう注意が必要。(月波与生)
こっそりとコキアもまざる鼓笛隊 蔭一郎
~こ、コ、鼓、とラッパーのように韻を踏む。ぞれでいてイメージが映像化できる恐れ入りましたの句。(月波与生)
歯ぎしりで埋め尽くしたい十二音 汐田大輝
~イヤな十二音。絶対埋めつくしたくない。でも黒板に爪を立てる音よりはマシか? (月波与生)
地底湖に沈みきれないファニーボーイ 片羽雲雀
~「ファニーボーイ」調べれば「同性愛者の男性を指す侮蔑的なスラングとして使われることがあります」とのこと。物騒なのでチェリーボーイくらいにしてくれないかとも思う。(月波与生)
うそ寒を連れて部屋入り夕の闇 小峯 漣
~素敵ですね。うそ寒を連れてのフレーズ。 そしてすでに部屋にも訪れている夕の闇とうそ寒の季感との取り合わせ。雰囲気があって好きです。(月波与生)
自動車のバックミラーに鶴渡る 蔭一郎
~今どきの怖い話題なら、、 バックミラーに熊映る…ですね(bakubaku)
ミンダナオでは神様も左利き 汐田大輝
~「ミンダナオでは神様も左利き」。フィリピンの島だと思いますが、フィリピンは歴史的背景からキリスト教を信じている方が多いです。左手というのは、キリスト教に限らずネガティブな印象を持たれることも多いようです。悪魔だけでなく神様も左利き。なかなか面白い発想だと思います。(季川詩音)
囲炉裏から旧デザインのミドリムシ 空野つみき
~「旧デザインのミドリムシ」がなんとも味わい深い。ミドリムシとイメージが浮かびにくい虫を選んだもの良い判断。(月波与生)
宵寒にデスデモーナの護身術 片羽雲雀
~うまい。肩がぞくりとした。夫に首を絞められている。しかし、身に着けた護身術で、撃退してしまう。痛快!(笛地静恵)
空の裏側あと何ページ アリタ別館
~空の裏側にページがあるっていう発想、とても素敵です。あと何ページのフレーズで、ずっと空を観ていたい気持ちが伝わってくるのもよいです(石川聡)
半分でいいから柘榴ここに居て 片羽雲雀
~この句もいいですね。ちょっと柘榴が頭を離れません。Xの俳句では勿体無い感じ。(堀川朽葉)
秋声に熄む人類の発情期 星野響
~いいです! 好き(乱友 十兵衛)


