さみしい夜の句会報 第242号を発行しました

さみしい夜の句会
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画像提供:JackieLou DL (Pixabayより)

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さみしい夜の句会報 第242号(2025.10.5-2025.10.12)

第242号の参加者は52名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。#さみしい夜の句会 にて検索してもセレクトされない方がいらっしゃるようです。掲載のない方は管理人まで連絡を。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

ジュ二ークの投句が増えて来ました。『#ジュ二ークの山文学賞』の募集も始まっており、郵送による投句もポツポツ届いております。今週も都まなつさんがたくさん掲載となりました。投句者が創っていく文学賞になれば主催者としても大変うれしいことです。

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◆ 参加者(52名)

クイスケ、石原とつき、ひいらぎ、佐井杜有、空野つみき、しまねこくん、乙女の海外文学案内、カオルル、maz mo、三明十種、片羽 雲雀、汐田大輝、石川聡、笛地静恵、山田真佐明、souko守宮、宮坂変哲、西脇祥貴、都まなつ、Nichtraucherchen、Tatsuo Kanase、範善、美蟲角(びちゅうかく)、蔭一郎、鈴木正巳、ゆうたま、天然石アクセサリーkiki’s、不思議な話のアイン、季川詩音、何となく短歌、アリタ別館、ぺろぼっこ(のろわれたぺろ)、雷(らい)、しろとも、安藤 蜜豆、我妻ううわ、岡村知昭、ねるのいつ、青海波、東こころ、まどけい、ARIA、水の眠り、リコシェ、星野響、霧雨魔理沙、ナル、月階柚、なさわご、熊五郎、筑水せふり、月波与生

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◆ 川柳・俳句

スマホケースはヘリじゃないのか? クイスケ

賛美歌に保護フィルムを重ねて貼る クイスケ

なめくじながら泣きぼくろ 石原とつき

蜂に刺された穴を見る 石原とつき

お魚に春と名づける 都まなつ

ぴこぴこと右折する弓 都まなつ

夏のあつさの七不思議 都まなつ

ぽろぽろはもうほどけない 都まなつ

たたみのとこにある釣り餌 都まなつ

十五夜兼ねる静電気 都まなつ

月はだいたい焼き魚 都まなつ

月見団子を消しゴムに 都まなつ

つみをつみれにつみあげる 都まなつ

ジンルイはみんなボサボサ 都まなつ

未来人のなきがらだろう 都まなつ

指先をなんにでもする 都まなつ

ハンバーグだけはともだち 都まなつ

宇宙にはエプロンがいる 都まなつ

ハイテイをちょっと寝そべる 都まなつ

あの法被からつくる猫 都まなつ

蚕なら一律だった 都まなつ

ごろごろの名をまたなくす 都まなつ

回廊をあやす狼 都まなつ

やわらかい針山を売る 都まなつ

形而下の悩みちくわに押し込める ゆうたま

食紅で戦旗を染めたドラクロア ゆうたま

キュリー夫人大きな苺だけを食べ ゆうたま

止まってる心臓よそに蕎麦啜る ゆうたま

ハンドルと煙草を握るマダムかな 山田真佐明

今宵もう皿を洗ってマダムかな 山田真佐明

背中ごしマダムが透けるマダムかな 山田真佐明

カフェインのマダムの声に乗って飛ぶ 山田真佐明

湖面にて極道どもの豆腐市 汐田大輝

恐竜の骨で夜空を埋め尽くす 汐田大輝

頭取の首を転がすマスゲーム 汐田大輝

八雲忌の地平線までのびる首 汐田大輝

感情をダダ漏れにする降水帯 汐田大輝

正常と異常を含むビスケット 空野つみき

陋巷にアリスはアリス Nichtraucherchen

過ぎる季節のドップラー効果 アリタ別館

ほっぺたに梅雨前線ついてるよ 佐井杜有

「し」と打てば変換される名に刺され 片羽雲雀 

兼好と新古書店のすれ違い 笛地静恵

賛成と手をあげてから学級会 笛地静恵

企業からパイプカットの禁煙を 笛地静恵

大脳のわずかふくらむ低気圧 笛地静恵

いつまでもあると思うな鼓動と呼吸 笛地静恵

レモン飴くれないとあいつと逢うよ 蔭一郎

この服の生地は秋の空の余り 蔭一郎

病院にシルクハットの鮭の群れ 蔭一郎

なにげなく弥勒の口にエスプーマ 蔭一郎

無重力という餃子の仕業だろ アイン

社会性しかない豚肉しかない アイン

星座のセックスあれは嘘だ アイン

週末まで亀と競争 天然石アクセサリーkiki’s

中島みゆきという白地図 西脇祥貴

血色よき母の写真やふかし藷 カオルル

百舌鳥百羽湧いて羊の毛を毟る しまねこくん

ノーム掘る知恵おへそ夜話 乙女の海外文学案内

緋のシーラカンスをあげる飴あげる  岡村知昭

   *

露よ露なみだとなつて吾を救へ ひいらぎ

前髪を掬う風の音秋の嶺 maz mo

黄光の帯びて冷めゆく秋の服 三明十種

この庭でもネグレクトだわ棗の実 石川聡

さみしさを楽しむためよすべり台 souko守宮

国交省改宗されてクリスチャン 宮坂変哲

鼻歌はロック炭坑節じゃねぇ Tatsuo Kanase

恋破れ秋の海辺に顔一つ 範善

今日もまた妻と歩くか濡れ落ち葉 美蟲角

秋霖やマットの匂ふ体育館 鈴木正巳

河童忌やあの日のことは忘れよう 季川詩音

先回りした月が何度も顔をだす 雷

鍋底に九月と砂糖残ってる しろとも

午前二時 一平ちゃんに湯を注ぐ 安藤 蜜豆

ごめんとか言わなくていい星月夜 我妻ううわ

寒露なり栗召し上げた匙ひとつ ねるのいつ

隠さずに指を繋いで月のなか 東こころ

ミステリの日に漫画を読んで午睡せり まどけい

名月にひょいと被せる青ハット 星野響

崩れゆく リーダー達の 倫理観 霧雨魔理沙

冬前に金木犀と待ち合わせ なさわご

   *

紙鉄砲の紙を丸めている紙屋 月波与生

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◆ 短歌

雨の日の午睡しずかな君の息 空調ゆるめて聞いている ただ  水の眠り

天空に近い庭園寝転んで十億のビルの大王になる 水の眠り

   *

祝われる権利奪われ金曜の朝が来るだけ10月10日 何となく短歌

肉眼ではこんなにハッキリ見えるのに カメラを通すと見えなくなる ぺろぼっこ

この土地に二人だけで楽園は墜ちても大地で何処にも行けない 青海波

「わすれたい」そんなときにはドロップを 甘さが溶かした二十三時 ARIA

一面の曇り空ですお月さま化粧直しが済んだらおいで リコシェ

ひとり見のアニメを消した静けさと通りに響く父と子笑い ナル

夜を跳ねる黒うさぎ氏は今晩は靴に浮かれて首を刎ねな 月階柚

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◆ 詩 ・ 短文

小さな指輪をはめていた
子供の眼裏に住んでいる
思い出の惑星
数え歌の余韻

着せ替え人形が川に流れ
溢れた涙の色があおく
父は抱きしめた
母は背中をさすった

抱えきれない仕事に
余白を埋め尽くされ
張り裂けた感情を
誰が手当てする

花で心を射すくめられ
心で花を狩る時
あなたを山で見たのだ(山田真佐明)

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◆ 作品評から

この庭でもネグレクトだわ棗の実 石川聡
 ~勢い余って、自分なら下五に「馬鹿野郎」と入れる気がしますが、「棗の実」とするところが素敵だと思いました。(季川詩音)

回廊をあやす狼 都まなつ
 ~直感的にいいわー!なぜ惹かれるのか?上手く説明し難いけどシンタックス(語を組み合わせ文など更に大きいまとまりを作る統語)のセンスも、語の選択センスも5/7、7/5の形式において煌めいている印象。ジュニークの申し子誕生か?(石川聡)

国交省改宗されてクリスチャン 宮坂変哲
 ~憶測ですが、外務省とかもそんな感じがします。面接などで聞かれることはありませんが、信仰している宗教などによって、また別の苦労があるのかもしれません。会食で豚肉が食べれなかったり、お酒が飲めなかったりするのかもしれません。(季川詩音)

中島みゆきという白地図 西脇祥貴
 ~中島みゆきが句頭に来るの初めて見た! なかじま_みゆき/という_はくちず しかも、4+3/3+4の77句だ!!何か大きな心境の変化があったのか???(石川聡)

この服の生地は秋の空の余り 蔭一郎
 ~この句もいいわー! 秋の空の余りをちょっと裁断して仕立てた服はどんな着心地なんでしょう。生地だけに、見立てがよろしいようで。(石川聡)

社会性しかない豚肉しかない アイン
 ~「社会性しかない豚肉しかない」。外国人観光客が増えてきました。宗教を理由に、豚肉が食べられない人もいます。買い物ひとつでも、「これって豚肉入ってますか?」というやり取りが必要なようです。日本だと宗教の話はタブーな面もあり、なかなか聞きにくいのも問題なのかもしれません。(季川詩音)

止まってる心臓よそに蕎麦啜る ゆうたま
 ~好きです!(熊五郎)

感情をダダ漏れにする降水帯 汐田大輝
 ~「感情をダダ漏れにする降水帯」。きっと泣いてるんですよね。悲しいのか、なんなのか。こっちが泣きたいぐらいですが、そこはグッと堪えて。みんなで号泣した後は虹が出るのかな。(季川詩音)

病院にシルクハットの鮭の群れ 蔭一郎
 ~紳士な鮭の群れが、川をさかのぼり、今、病院にたどり着く。シルクハットは、もうぼろぼろだ。先生、われらの長い旅は終わります。海で、川で、あらゆる網から逃れて来ました。静かに、そのときを迎えたいのです。一斉にシルクハットをとった鮭たちの、一礼。先生からの、敬礼。(岡村知昭)

正常と異常を含むビスケット 空野つみき
 ~このビスケットのおいしさは、正常と異常のバランスによるもの。歯ごたえ、舌触り、甘さ、栄養分。憎しみ、承認欲求、性欲、冷笑。バランスの良さに満ちたビスケット、無事食べ切って、ただいま胃の中で絶賛消化中。こんな私だけど、少しでもバランスよく、変われるかな。(岡村知昭)

なにげなく弥勒の口にエスプーマ 蔭一郎
 ~これいいわぁ~! エスプーマの口当たりってホントに何気ないくらい滑らかでやわらかなんですよね。「弥勒」の措辞によってあの、広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像のイメージを呼び起こすので、ああ、癒しやわぁ~ってエレガントな気持ちで思えます。句姿の軽さも◎(石川聡)

百舌鳥たちが枝に刺してゆく星座 蔭一郎
 ~モズのはやにえ。時々林檎の木にもカエルが刺さっていることがあり農作業中見つけるとギョッとする。星座にしたことで広がりのある句になった。 (月波与生)

ぼくの心の中のダダ Nichtraucherchen
 ~哲学的ジュ二ーク。やはり書き手が増えると可能性が広がり面白い句が増える。どんどん集まってほしい。 (月波与生)

トゥモローとトウモロコシがビデオ見る 山田真佐明 
 ~こういう言葉遊びができるのは天性だと思う。できない人は練習してもできない。武器となりますので大事にしてください。(月波与生)

いつまでもあると思うな鼓動と呼吸 笛地静恵
 ~フォーサイクルフォーバルブ(筑水せふり)

先回りした月が何度も顔をだす 雷
 ~車窓から見える景色を思い浮かべました。先回りした月と何回も目が合うんです。追い越そうとするとスピード違反でこちらの負けなのがまたロマンチックかもしれません。(季川詩音)

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