さみしい夜の句会報 第229号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第229号(2025.7.6-2025.7.13)

第229号の参加者は51名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

例えば最近の川柳が面白くないとすればそれは選が面白くないということで。面白いならそれは選が面白いということだ。今、川柳は選の時代。面白い選を読みたい。

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◆ 参加者(51名)

クイスケ、カオルル、しまねこくん、石川聡、山田真佐明、笛地静恵、菊池洋勝、彩葉(いろは)、鈴木正巳、涼、水の眠り、西脇祥貴、よしぴこ!、空野つみき、柊琴乃(あさがお)、雷(らい)、都まなつ、しんいち、星野響、西沢葉火、季川詩音、蔭一郎、汐田大輝、もりや、片羽雲雀、山田彩緒、akao、しろとも、富永顕二、岡村知昭、萬某、江口ちかる。、涼閑、宮坂変哲、まどけい、舞風 奏、塩の司厨長、下野みかも、何となく短歌、なる、冬野志奈、東こころ、武井窓花、てん、ゆりのはなこ、山田真佐明、古城エッ、𝓜、石原とつき、ジブラルタル峻、月波与生

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◆ 川柳・俳句

ぬるい暁のまぶたの精神科医 クイスケ

ごろつきのピアノをノーヒントでおこす クイスケ

人生の道行き素に戻るプリクラ クイスケ

朝顔と朝顔市の迷子かな カオルル

蟬時雨スワンボートの無表情 カオルル

まだここはエンケラドゥスの底の底 下野みかも

百日紅ほどいて海にたどりつく 江口ちかる

オムレツに取り憑かれスフレ状のボク 江口ちかる

首の皮一枚残し朝顔に しまねこくん

風鈴を上下に振つた時の音 しまねこくん

おつさんが三人寄れば一人蝉 しまねこくん

夏バテのポーズがきつとヨガにある しまねこくん

罌粟坊主は宇宙船きおくのつぶつぶ圏外へ 石川聡

蓮咲くや佐竹の城の堀いちめん 石川聡

あいまいさ回避はしても雨は雨 都まなつ

ここは海のない町 都まなつ

笑わずに匍匐前進してあげる 岡村知昭

夏の蝶お通し残し帰る人 菊池洋勝

手をのばし真夏の音量をしぼる 蔭一郎

好きな子の首にかみきりむしの痕 蔭一郎

彼女らは蛸のくるぶしまで触る 蔭一郎

天牛となりて噛みつくみだれ髪 片羽雲雀

真夏日の気が触れている喫煙所 片羽雲雀

あめつちの始まりにいるドラえもん 汐田大輝

背泳ぎで都営大江戸線をゆく 汐田大輝

鈴なりの鳥に紛れて星野源 しんいち

肌荒れを逆再生でなめらかに しんいち

人形がすき あなたより土に近くて 空野つみき

梅雨空や鬱はラムレーズン風味  柊琴乃

精神世界たとえば雷雨のスギ薬局 よしぴこ

   *

東北へリンゴの頬の口裂け女 笛地静恵

密の味 蟻の行列 宙を飛ぶ 彩葉

リビングでうたた寝したら深夜組 涼

街の巻戻し 聞く中島みゆき 西脇祥貴

屋根のないガイドラインを読む日盛り 雷

日食になれば上を向いて歩く  西沢葉火

世界線数多束ねて滝飛沫 星野響

いつだって俺の熱意は真夏日だ 季川詩音

ほら見ろよ今日の続きはスペアリブ もりや

海開きまず海神(わだつみ)へ神酒注ぐ 鈴木正巳

寂し気な君が魚になる真夏 宮坂変哲

ぶつ切りのこの島国や風の死す akao

満月にはまあまあ嫌われている しろとも

夜の明けたことを知らずに泣く夜鷹 涼閑

聲だけが流る光学迷彩の 塩の司厨長

質屋の日足りないものを買いに行く まどけい

今もなほ消せぬアドレス星祭 冬野志奈

漆黒の逢引をして天の川 東こころ

七夕やおまえも愛が欲しかろな 武井窓花

はじまりが赤バツだった月曜日 ゆりのはなこ

狂わない母とお菓子の家に住む 月波与生

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◆ 短歌

川辺りのヒメジョオンは真昼間に花火を上げて夏の祝祭 水の眠り

路地裏にロストしている僕たちの喪失感が拡散されて 富永顕二

さりげなく 自己アピールでもしたいとき うまくできずに 後で反省 萬某

先行きの見えない日々と 振り向くと後悔ばかり積もった道と 舞風 奏

7月の6日の恋に焦がれつつ7月8日の各駅停車 何となく短歌

早春に君と結ぶ日夢想した過去はサラサラ風に鳴る笹 ナル

あの夏の君は人魚の女王でさ、夜、プールサイド、跪いたね  てん

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◆ 詩

《感想文》 (山田彩緒)

「生まれてみる?」ときかれて頷いてしまった
「しまった間違えた!」
間違えた人生はたのしい
まちがえなかった生命の
まちがいのなさに救われて
間違えちゃいましたって
天を仰ぐ
母さんも
ばあちゃんも
間違えちゃったほうかもしれなくて

   

(山田真佐明)

深い森に
残党が息吹いて
熱された大気が
叫んでいる
並木道を歩いて
ためらっている
あなた
コオロギの思想は
道を這っている
やいのやいの
叫んでいる
支柱を挿した土くれは
母乳の出ない猫が踏む
猫背の男が横切る
稲穂の青い浪
総て留まるだけの
いのちと知ってか

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◆作品評から

蓮咲くや佐竹の城の堀いちめん 石川聡
 ~綺麗な情景が思い浮かびました。その一方で、「城」という文字を見ると「戦い」を想像します。いかに壮絶なものだったかというのも表現していると思います。数ある花の中で、蓮というのも興味深く、そのような歴史も物語っているのかもしれません。(季川詩音)

リビングでうたた寝したら深夜組 涼
 ~あるあるですね。気づいたら深夜になっていた。寝ようと思っても、寝れない。すごく分かりますね。この作品の背景には、今日の後悔や明日への焦りもあるのでしょう。(季川詩音)

落ちたままreincarnation沼の蓮 片羽雲雀
 ~むかしケイトブッシュが”Symphony in blue” で 〈セックスは輪廻転生の根源》みたいなことを歌ってからreincarnationがでるとケイトブッシュの妖艶な声を思い出すというお話。(月波与生)

たまごっちの体毛数え100日 クイスケ
 ~100日数えたからって何が変わるわけでもないが体毛数えのこだわるのもまた川柳的ではある。たまごっちもすっかり存在になってしまった。(月波与生)

あふりかの蛸をぶつ切り半夏生 冬野志奈 
 ~蛸をぶつ切りとは豪快であるが最近の日本の夏は暴力的でアフリカの暑さに引けをとらないであろう。(月波与生)

ここは海のない町 都まなつ
 ~突然のリプ失礼します。読んでいて世界観に引き込まれてしまいました (古城エッ)

密の味 蟻の行列 宙を飛ぶ 彩葉
 ~蟻は甘いものが好きだそうですね。見つけたら宙を飛ぶくらい嬉しいんだと思います。先頭にいる蟻が、「あったぞ!」と後ろにいる蟻に伝えて、次々に喜んでいる姿が思い浮かびます。(季川詩音)

夏バテのポーズがきつとヨガにある しまねこくん
 ~いろいろなポーズがあると思いますが、1つぐらいはありそうです。「きつと」というのが良いです。多分ないだろうとは思いつつも、信じているような気がして。(季川詩音)

いつだって俺の熱意は真夏日だ 季川詩音
 ~推しの気持ちがわかるような。(𝓜)

真夏日の車体にビル群が映る 蔭一郎
 ~それはそれは筆記体でしょうね。お口に合いましたら(石原とつき)

好きな子の首にかみきりむしの痕 蔭一郎
 ~きっと心配したことだと思います。「好きな子」のそんな姿を見たら不安に思うはずです。また、「人」ではなく、「子」とあることから、小学生や、中学生あたりのことなのだろうと思いました。(季川詩音)

肌荒れを逆再生でなめらかに しんいち
 ~発想が面白いですね。「逆再生」の定義が気になります。映像的な意味なのか、生物学的な意味なのか。生物学的な方だとすれば、「こうなったら良いな。」というような願い的なものを感じます。(季川詩音)

東北へリンゴの頬の口裂け女 笛地静恵
 ~嫌な想像ですが、特産品であるリンゴを食べに行ったのかもしれません。オカルトっぽい感じがあって面白いです。(季川詩音)

恋人の撮るそらひとつ保存する 東こころ 
 ~わざわざ「ひとつ」と言ってるとことが恋人との距離感を物語る。空には何があったのか。(月波与生)

南仏の香りの強い蒸しタオル 汐田大輝
 ~どんな香りかさっぱり想像できないが日本人が憧れた南仏。何処で渡されたものだろうか。(月波与生)

さしづめは冷し胡瓜の歯応えよ 菊池洋勝
 ~「さしづめ」がいい。久しぶりの投句で世界が変わったようで面白い。次回も待ってます。(月波与生)

背泳ぎで都営大江戸線をゆく 汐田大輝
 ~都営大江戸線だ!(ジブラルタル峻)

今もなほ消せぬアドレス星祭 冬野志奈
 ~連絡先ってなかなか消しにくいですよね。「もしかしたら、また、、。」と考えてしまうと尚更だと思います。(季川詩音)

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◆ 第229号句会報ダウンロードはこちらから

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