さみしい夜の句会報 第226号を発行しました

さみしい夜の句会
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UnsplashKyan Tijhuisが撮影した写真

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さみしい夜の句会報 第226号(2025.6.15-2025.6.22)

第226号の参加者は45名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

自由港書店での『海の川柳』の展示会、日川協主催の『全日本川柳大会』参加のため約6か月ぶりに神戸へ行って来ました。今回も店主旦さんの対応には癒されました。川柳をやってないと会えなかった人と会う喜び。そしてZINE『海の川柳』はいよいよ明日26日より自由港書店にて発売となります。

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◆ 参加者(45名)

クイスケ、片羽雲雀、宮坂変哲、蔭一郎、輪井ゆう、しまねこくん、板里カエ、笛地静恵、カオルル、水の眠り、武井窓花、リンネリンク、西脇祥貴、山田真佐明、半岬チロ、ぺろぼっこ、西沢葉火、季川詩音、鈴木正巳、富永顕二、汐田大輝、岡村知昭、しまりす、古城エッ、東こころ、ユミヨシ、crazy lover、山羊の頭、石川聡、しろとも、江口ちかる。、何となく短歌、fuu_、ひいらぎ、nes、流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬、akao、もふもふ、なさわご、まどけい、たかぎぷりん、コマさん、硝子工房トリニティ、名犬 ぽち、月波与生

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◆ 川柳・俳句

役割を終えし夏至より置手紙 武井窓花

ジャイアント馬場から十を引けば夏至 しまねこくん

性欲の強さを蛙の名で分ける しまねこくん

お醤油とあと噴水も借りてきて しまねこくん

独り身の脛はひたすら蚊に食わす しまねこくん

発酵を待ちきれなくて犀になる 岡村知昭

出目金の泡美しき少年期 カオルル

絵日傘の絵の向日葵の花開く カオルル

間に合わなかったすべての中島みゆき 西脇祥貴

ゆらりと座敷わらしを逃がす、さて nes

数学を鮭おにぎりにしましょうか nes

心臓の傷に金魚をとどめたい nes

ジャングルジムなのね触れられたらわかる 江口ちかる

ずいぶんと居心地の良い沼ですね 片羽雲雀

あまりに白くて立ちつくす休日 輪井ゆう

シリアルに 流れるプールの 夢を見る 板里カエ

筑波山前四本後ろ六本蝦蟇 笛地静恵 

炎天の首都焼失ぞデマゴーグ 笛地静

ガリガリのフランスパンのような鳥 汐田大輝

歴代の市長の鼻が深海魚 汐田大輝

鰭までの距離が悲しい淡水魚 汐田大輝

鳩の息ほどの醤油を垂らします 汐田大輝

ぽかぽかの栞を挟むパイプ椅子 クイスケ

手チェーンの声色の水風船 クイスケ

   *

空梅雨に喜ぶ人や薩摩の日 まどけい

カロリーを使って動くナノマシン 宮坂変哲

いくつかの夏至を選んでレジへゆく 蔭一郎

ぼくはさみしがり ぺろぼっこ

コペルニクスと天丼屋 西沢葉火

俺たちはバナナの木には程遠い 季川詩音 

初デートサムギョプサルは三次元 季川詩音

イカ焼くやサンタモニカの海の家 鈴木正巳

進研ゼミのマンガの中で生きている 富永顕二

逢引の夜にあなたの色のチョコ  東こころ

大嫌い触りたくないあなたでも crazy lover

ヒトの世をすり抜けて安息の地へ 山羊の頭

「しおしおのぱー」を祈りにページ繰る 石川聡

しょうもない己れで生きる桜桃忌 しろとも

さみしいの? 息苦しいの? 自分とは fuu_

蝸牛こっそり花の影をゆく ひいらぎ

ちゃぽんちゃぽん缶カラ満たす皐月雨 akao

負け試合汗と涙でつくる塩 もふもふ

ひとしきり己の罪に刺さる夜 なさわご

   *

雨の日に眺める雨の絵を飾る  月波与生  

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◆ 短歌

夜想曲十二時過ぎの調べには明日の成分もう含まれて 水の眠り

『足』ってなんだか汚い気がする 私前世が幽霊なのかも 半岬チロ

かたつむりは肺呼吸だしアメンボは飛ぶし私は泣くし 半岬チロ

   *

行間を噛み締めながら読んでいる短い言葉に余韻は長く しまりす

牛乳を飲みすぎたから籠ってる訳ではないよ俺の場所だよ 古城エッ

適切な距離が分からず離れて生きる 淋しさを飲み込むコツは覚えた リンネリンク

ガタガタと雑音と風を吐き出して私を邪魔する扇風機まわる ユミヨシ

車窓から見上げる空は夏の海の岩場の陰の泡沫に似て 何となく短歌

クロスワードパズルの影に隠れる本当のわたし 流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬

放課後のだれもいないはずの音楽室からピアノの音が 下手 笛地静恵 

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◆ 詩

風が仲間を連れる
雲が陽をさえぎる
穏やかな青
数え切れない砂れき
社の向こうに
凍てついた冬の気配はない
あなたの答えに
みくじの重なりを伝う
参拝に訪れた
ふたりの願いは違っても
大きな心に包まれた
心地には違いない (山田真佐明)

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◆ 作品評から

役割を終えし夏至より置手紙 武井窓花
 ~役割を終えて置手紙とは素敵です。最近は、暑すぎて夏も頑張りすぎなのではないかと思います笑(季川詩音)
 ~これ綺麗だね(たかぎぷりん)


 適切な距離が分からず離れて生きる 淋しさを飲み込むコツは覚えた リンネリンク
 ~人との距離感というのは意外にも難しいものです。長く付き合っていると礼儀などがなくなったりします。もしかしたら、初心の気持ちを忘れてしまっているのかもしれません。(季川詩音)

俺たちはバナナの木には程遠い 季川詩音 
 ~バナナは青春のよう。青いままで船でその先を目指す。少しずつ熟されて大人になる。(コマさん)

いくつかの夏至を選んでレジへゆく 蔭一郎
 ~夏至は一つじゃないのかもしれません。そして、どんな夏至かを選ぶ権利も私たちにはあるのかもしれません。(季川詩音)

志の低いところに溜まる砂 海馬
 ~普通に番傘誌に載っていそうな句。いろんな人がいろんな句を発表して境界線を曖昧にしていくことはいいこと (月波与生)

梅雨の窓顔だけがある検診衣 雷
 ~検診衣は使い回しなので無個性で誰が着ても似合わない作りになっている。そこに個性的なパーツである顔を付ける。じわじわと恐怖が迫ってくる句。(月波与生)

鰭までの距離が悲しい淡水魚 汐田大輝
 ~淡水魚は寄生虫のリスクがあることから鮨のネタとしては好ましくないそうですね。「距離が悲しい」とあることから、淡水魚だって鮨になりたいという気持ちを感じました。(季川詩音)

鳩の息ほどの醤油を垂らします 汐田大輝
 ~「鳩の息」。グルッポウ、グルッポウの「ポウ」のところで、ぽたり、ぽたり。しょう油の味加減が、微妙な料理なのでしょう。小生ならば、焼き鮭かな。もともとしょっぱい。かけ過ぎてはいけない、しょう油さしの穴を、指で押さえたり離したり。楽しい食事の時間。(笛地静恵)

初デートサムギョプサルは三次元 季川詩音
  ~サムギョプサル。知りませんでした。三層になっている、いわゆるバラ肉なんですね。(硝子工房トリニティ)

しょうもない己れで生きる桜桃忌 しろとも
 ~「しょうもない己れ」だけを見ると、桜桃忌なのに特に意味もなく1日を過ごしたかのように思えますが、捉え方によっては粘り強さも背景にあるようにも思います。今日という日をどう生きるか(生きたか)なんて、人それぞれだと思いますね。(季川詩音)

コペルニクスと天丼屋 西沢葉火
 ~コペル肉ス。あ、それは牛丼屋説ですね。天丼屋、天丼説、天動説!ガリレオのガリもびっくりですね〜。あ、ガリは寿司屋か。(石川聡)

炎天の首都焼失ぞデマゴーグ 笛地静恵
 ~投票はしますよ。候補の政策も目を通すけど。街のあちこちでああも、大音量で連呼されるとねぇ。東京は急に真夏の暑さになっちゃって首都焼失感が強いってのにイラっと来ます。信じて投票しても公約不履行される不信感とそれでも参政する焦燥感。まさに日本焼失だわ。(石川聡)

無花果がわらって外れくじだった nes
 ~直感的な面白さが。無花果という漢字の「果」って、結果や成果なども思い起こすので、良い結果とかお金をかけた成果を期待したのに「外れくじだった」というフレーズとそこはかとなく響くのかもw 同様に「外れ」と「無」も。(石川聡)

バックミラーの裏側へ /西沢葉火
 ~後ろを見るモノ。更にその裏への意識・視点。 世の中、裏の裏まで気を配っていなければ生き残れないのだー。フツーに生きていくことの厳しさ切なさよ。穿ちをたった12音で鮮やかに切り取っていて惹かれます。(石川 聡)

お醤油とあと噴水も借りてきて しまねこくん
 ~お醤油をお隣さんに借りるの、昭和感な設定でノスタルジー。それを噴水で飛ばしているのがイイネ。細い水栓から液体が出るっていう縛りの通奏低音を効かせながらも、醤油の生活感(プライベート感)から瞬転、噴水(公共の場感)へと着地するズラしに柳味!(石川聡)

文鳥のはらとは知らず夜明けまで 江口ちかる
 ~「文鳥のはらとは知らず」が面白いので「夜明けまで」何をしかたが気になる。そこは読み手にお任せ、というのもわかるが。(月波与生)

本物になりたいけれど擬態する例えばスイカバーの味とか 水の眠り 
 ~ばあちゃんはスイカバーの種(あずき)を吐き出す、という津軽弁の笑い話を思い出した。(月波与生)

サラ川をガールズバーで鎮火せよ 汐田大輝
 ~ここまでやると「を」を「は」にしたいが「ガールズバー」の破壊力にも賭けてみたくなる。何でも書きなはれ。(月波与生)

ひとしきり己の罪に刺さる夜 なさわご
 ~人間は、夜になるといろいろなことを考えてしまうのではないでしょうか。しかも、それの大半はきっと嫌なことだと思います。「罪」と表現していることから、反省をしたいという気持ちも詠みました。(季川詩音)

放課後のだれもいないはずの音楽室からピアノの音が 下手 笛地静恵 
 ~怖いなーと思いながら詠みましたが、「下手」というまさかのオチで笑ってしまいました。気になるのそっちなの!?と思いました笑(季川詩音)

独り身の脛はひたすら蚊に食わす しまねこくん
 ~かぷっ!ペロペロペロ!かぷっ!(名犬 ぽち)

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◆ 第226号句会報ダウンロードはこちらから

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