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さみしい夜の句会報 第216号&第217号 (2025.4.6-2025.4.20)
第216号&第217号の参加者は73名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
満天の星ではただいま海をテーマにした川柳を募集しております。集まった作品の中から数十句を選び『海の川柳』と題したアンソロジーを発行します。有料にはなりますが参加をお待ちしております。詳しくは(@tukinamiyojyo)のポストにて。
◆ 参加者(73名)
みさきゆう、しまねこくん、笛地静恵、呪街管理人、江口ちかる。、何となく短歌、胡椒 黒、akao、山田真佐明、魔理沙、池田 突波、ぜん哉、輪井ゆう、宮坂変哲、漁火いさな、西脇祥貴、石原とつき、蔭一郎、水の眠り、鈴木正巳、カオルル、気まぐれさん、しろとも、舞風 奏、季川詩音、西沢葉火、東こころ、古城エッ、武井窓花、汐田大輝、冬野志奈、山羊の頭、ホワイトアスパラ、shyisnormal、黒木悠希、板里カエ、🍓、アリタ別館、ひいらぎ、石川聡、桜咲蓮希、ユミヨシ、まどけい、苔土演技、羽紫目 うい、匂蕃茉莉、雷(らい)、なさわご、コナツ、しんいち、chu短歌、もりまりこ、ゆりのはなこ、谷下弱弱、涼閑、えみ、石畑由紀子、牛田悠貴、涼、片羽 雲雀、コナツ、狢川 久恒、クイスケ、成瀬悠、海馬、代本版、りすん、足田 純朗、若林陽光、コマさん、STOP60(スー)、萩乃りんか、月波与生
◆ 川柳・俳句
主のない家のトタンにまだ風がある 雷
遠い過去からの鳴き声としての鳩 雷
ひとりでに蝶になれたと思ふなよ しまねこくん
うわ言が途切れてやつと葉桜に しまねこくん
女には墓まで持つて行くレタス しまねこくん
春月をんげと省略してよいか しまねこくん
ファウルした海女が呼ばれる元の位置 しまねこくん
古池に飛べぬ蛙は泣くのだらう しまねこくん
煩悩の数を一から春愁い しまねこくん
八百も嘘はつけないしやぼん玉 しまねこくん
貝殻に生まれ変わるの花筏 しまねこくん
定刻を忘れなかった葉桜よ 武井窓花
サーカスの火の輪をくぐるすべからく 蔭一郎
だまし絵にぽつぽつと咲く芝桜 蔭一郎
ほんとうに花は花言葉がきらい 蔭一郎
チェロ弾けば花豌豆に血が通う 蔭一郎
あのそらは盗作された春のそら 蔭一郎
シーサーをペットカメラで見守って 蔭一郎
お気持ちはわかる咲くのを拒む花 蔭一郎
洗うのと洗わないのがある凶器 西沢葉火
切手貼るオビラプトルの舌の根で 西沢葉火
今ごろは落花に埋もれてゐるピアス 冬野志奈
愛人になって三日月型の嘘 東こころ
晴れたから青いしっぽが生えました 江口ちかる
踊り子という名の薔薇や通り雨 akao
花散るやライオンの髪客の髪 鈴木正巳
花まつり明日シラフになればいい しろとも
おい桜そろそろ散るかワンカップ 笛地静恵
古本に包み隠さず話します 山田真佐明
虚子の忌の棒の如きを持て余し カオルル
性根まで露わにすなれば風信子 片羽雲雀
春うれいお湯に浮かんで宙を見る shyisnormal
くつひもはほどいておいた靴の夢 牛田悠貴
声だから消えないでしょう春なんて 石畑由紀子
ニューヨーク風の歩きに課税する 汐田大輝
舌の長いアップグレード通知 汐田大輝
永遠に近い時間を煮る土鍋 汐田大輝
サボテンの言語がわかる異邦人 汐田大輝
この春の別れの酒がどす黒い 汐田大輝
父さんは心が折れたことがある 宮坂変哲
履歴書に【化石】と印刷されている しろとも
あの頃に夢みた私です(自称) しろとも
遅刻魔埃クォーツ時計埃 胡椒 黒
こいはきんたまがかれてからが むしろ 胡椒黒
五分五分のたたかいでした雨に散る 武井窓花
花が咲く季節に雨が降ってくる 武井窓花
焚書にされる読み返さない日記 輪井ゆう
ナプキンを交互に性交に使う クイスケ
うら若きかまってちゃんであるルーブル クイスケ
おおっぴらにバアル・ベリテを追い焚きし クイスケ
ゴム跳びで進研ゼミを乗りこなす クイスケ
金環探す森の入り口 成瀬悠
残された大衆向けの指紋たち 成瀬悠
特定のエビフライだけ支配する 成瀬悠
みんなが夏草になる前に会いにゆく 海馬
ブランコに顔だけ乗せて笑ってた 海馬
風やめばあけびの花のしやべりだす カオルル
葱坊主寂しくないと言へば嘘 カオルル
*
飛花落花アンタイトルな人生を akao
初虹が 例大祭に 華添へる 魔理沙
陽炎消ゆるいつそ僕にください 池田 突波
つぶやきを聞いた 時報もAIも ぜん哉
すきなこの くちにカレーを運ぶ 呪街管理人
引っ越してから増えた中島みゆき 西脇祥貴
分不相応におとぎ話な連想を鮒は釣る終わる 石原とつき
宝船沈む間際の椅子とりゲーム 鈴木正巳
自分にも消費期限があるのかな 季川詩音
初夢の中にもう君はいないの 季川詩音
恐竜のいま咥へるは春の闇 冬野志奈
葉桜の下を歩いて上を見る shyisnormal
自販機が 輪郭掴む 黒い夜 板里カエ
咲いて散る花は静かに過ぎてゆく ひいらぎ
界隈わいわい漂白された遊びばっかり 石川聡
小腹すき貪り食うやからあげクン誕生日 まどけい
春雨に終わりと始まり交差して shyisnormal
カーテンで隔てた世界我がお城 なさわご
ちゅるちゅると予備電池から蜜を吸う しんいち
もう二度と戻れない春君が呼ぶ ゆりのはなこ
上昇と下降独りの夜は更けて 涼閑
痩せようと誓ったそばから担担麺 えみ
星を継いでも末代になる 代本版
夜空にて 帰路を見守る 麦星よ 狢川 久恒
*
金縛りにあったがんもどきもどき 月波与生
◆ 短歌
約束は 忘れられると 分かっててそれでも好きで 空ける週末 🍓
開花とは繁殖のことルリタテハ真昼のセックスの祝祭をする 水の眠り
新しいモールはどこも同じ顔なんの跡地か思い出せない 水の眠り
お互いの秘密は知っているけれどくしゃみは隠したまんまさよなら みさきゆう
大阪に違う自分がいてもいいネイルサロンの間違い電話 胡椒 黒
ぬいぐるみの眼はボタンだというのになんでも見てきた眼をしている もりまりこ
いつも片想いの気持ちで会っているいつか会えなくなる日のために もりまりこ
*
お別れを告げてきました30円上がったりんごジュースを持って 何となく短歌
眠れなくても目を瞑る 「ねぇ」、ごめんあの海のかおりがしたかもな 漁火いさな
今日も連絡なし寡黙な君のいつも通りが世界を二分化させていく 気まぐれさん
才能が無くても愛されなくっても 望むだけなら許されますか 舞風 奏
もう何も買ってこないで思い出が増えたら別れにくくなるでしょ 古城エッ
咳止めをいただいてまで吸うタバコ 過去の同僚誰?アナタ? 山羊の頭
もう無理と画面にそっと打ち込む送信ボタン押すまでの微熱 ホワイトアスパラ
ふしだらな夢見の後に 冷たい手救われたくてその手握って 黒木悠希
すれ違う君のところで散る花はようやく僕の隣ほころぶ アリタ別館
5月から 単推しになる はずだけど凛とした桜 少し気になる 桜咲蓮希
缶詰の桃の白々しい艶はあなたをひとり占めした甘さ ユミヨシ
時には呪い時には祈りでいつの日も母は私のことを願った ユミヨシ
将来の明暗検査(簡易版)[低学年で口笛吹けるか]
苔土演技
「またくるね」『なんでずっといてくれないの?』困った顔する日曜日さん 羽紫目 うい
職無くし毎日妻に気兼ねして全てがつらい風は強いし 匂蕃茉莉
風邪っぴき娘と私はこもりびとスマホ見過ぎて不具合おこた こなつ
一人では孤独も感じられぬのに二人でいればこんなに孤独 chu短歌
一度目は桜花爛漫さき越され三度目はさきに私が散った 谷下弱弱
泳ぎ過ぎ肩が痛くて後悔し電位治療器使って治す 涼
この家の砂の一粒さえ僕が買ったものだと思い愛しい 宮坂変哲
◆ 詩・短文
掲載作品なし。
◆ 作品評から
この家の砂の一粒さえ僕が買ったものだと思い愛しい 宮坂変哲
~自分で貯めたお金で家を建てる感動は、その人にしか味わえない特別な思いだと思います。砂など、一見すると、たかがこれぐらいと思えるようなちっぽけなものでも、感慨深く感じるのも想像できます。(季川詩音)
古池に飛べぬ蛙は泣くのだらう しまねこくん
~飛べなかった蛙はきっと悲しいに決まってます。飛べかった蛙は、どんな泣き方・鳴き方をするのでしょうか。やはり、ゲコゲコでしょうか。気になるところです。(季川詩音)
あのそらは盗作された春のそら 蔭一郎
~春の空って確かに、どこに行っても似てるような気がします。それを『盗作』と詠んでいるとすれば、かなり面白い表現だなぁと思いました。(季川詩音)
サボテンの言語がわかる異邦人 汐田大輝
~サボテンの言語とは面白い発想ですね。なんとなくですが、メキシコとかそこあたりの国の職人さんとかを思い浮かべました。サボテンが放つ言葉はどんな感じなのか気になるところです。(季川詩音)
風やめばあけびの花のしやべりだす カオルル
~何て可愛い(りすん)
シーサーをペットカメラで見守って 蔭一郎
~可愛らしいですね。シーサーと聞くと沖縄のアレを思い浮かべますが、意外にもペット(犬とか猫)の名前がシーサーだったりして笑いろいろな想像が膨らみますね。(季川詩音)
咲いて散る花は静かに過ぎてゆく ひいらぎ
~たくさんある花の中で桜を思い浮かべました。桜が咲くとき、多くの人に見守れながら咲いて、咲いたあとは盛り上がります。しかしながら、散るときは誰にも見守られることなく静かに落ちていくことがあるように思いました。(季川詩音)
引っ越してから増えた中島みゆき 西脇祥貴
~何が増えたのか気になるところですね。グッズが一番はじめに思いつきました。引っ越しをしてから保管スペースに余裕ができてポスターとか色々買ったのかもしれません。(季川詩音)
定刻を忘れなかった葉桜よ 武井窓花
~今年も間違いなく葉桜が咲いたのだろうと思いました。「葉桜か」ではなく、『葉桜よ』とすることで、なんとなくやさしい感じというか、やわらかい感じもしました。(季川詩音)
煩悩の数を一から春愁い しまねこくん
~春になるとなんだか気持ちも落ち着かなくなります。昨年と同じ環境であってもなんだか落ち着かなくなります。そういったときに、煩悩について考えてみたい気持ちにもなります。(季川詩音)
5月から 単推しになる はずだけど凛とした桜 少し気になる 桜咲蓮希
~メンバーが脱退や卒業をすることで、たくさんいたはずの推しが1人になってしまう。そういうときがきっとあるはず。それでも、新しいメンバーが入ると、なんだかまた気になってしまう。推し活って意外とそれの繰り返しだったり。(季川詩音)
八百も嘘はつけないしやぼん玉 しまねこくん
~やはり、しやぼん玉にも嘘をつきたいときがあるんでしょうかね。だとしても、八百は多すぎます。それでも、少しぐらいの嘘ならつくのかもしれないですね。(季川詩音)
葱坊主寂しくないと言へば嘘 カオルル
~何だか佳い取り合わせですね。じわっと来ます。(足田 純朗)
~カオルルさん。いいね!ありがとうございます(若林陽光)
時には呪い時には祈りでいつの日も母は私のことを願った ユミヨシ
~呪いと、祈りのどちらもが「願い」であるというのが興味深いです。呪いが願いというのは、もしかしたら、子どもに対するものではなく、他人への感情なのかもしれません。嫌な思いをさせた人に対して、呪いで守ろうとした、そういうストーリーも浮かびました。(季川詩音)
自分にも消費期限があるのかな 季川詩音
~保存方法[環境、生活習慣、人脈…]を間違うと、期限が短くなってしまうね…(コマさん)
もう何も買ってこないで思い出が増えたら別れにくくなるでしょ 古城エッ
~何時かは、、しょうがないよね(STOP60(スー))
貝殻に生まれ変わるの花筏 しまねこくん
~可憐ですねえ。桜が桜貝へというのは普通ですが、貝でさえなくて貝殻。海岸に打ち寄せられる貝の亡骸。来世は、それでよい。謙虚な願い。かなえられればよいなと思います。(笛地静恵)
この春の別れの酒がどす黒い 汐田大輝
~「この春の」。春は転勤の季節でもある。なんであいつは、この春から、本社勤務で、おれが支社に居残りなんだ。同じプロジェクトを成功させたのに。あいつは、上司のおぼえが、よろしかったからなあなどなど。顔は笑って。別れの酒の腹の内。「どす黒い」の結句。「この」の指示語が、効果的。(笛地静恵)
いつも片想いの気持ちで会っているいつか会えなくなる日のために もりまりこ
~人間、いつ縁が切れるかなんてわかりませんね。あとは、留学や出張、進学、転勤とかで遠いところに行ってしまうこともあります。そう考えると常に両思いというよりかは、片思いの方が気持ち的には楽かもしれませんね。(季川詩音)
新しいモールはどこも同じ顔なんの跡地か思い出せない 水の眠り
~そうそう、壊されたゃうとなんだっけ?ってなるし、新しい商業施設はめっちゃ個性なくなるし。東急プ〇ザとか皆同じ意匠。楽そー(萩乃りんか)
飛び出してみても月まで歩けない 武井窓花
~「月まで歩けない」は道理であるが、「飛び出してみ(る)」ことで歩ける可能性を読み手は想像することになる。(月波与生)
あとがきの余韻の街で春になった 雷
~《あとがきの余韻》と《街で春になった》の異なる文を頼りない《の》だけで接続しているが、(この作者独特の)ギリギリ均衡がとれているような緊張感がある。(月波与生)
照れ隠しならばいいのに四月馬鹿 片羽雲雀
~「四月馬鹿」だと言葉として強いので 照れ隠しならばいいのに四月(馬鹿) というように四月のルビとして馬鹿を読もうか。その四月もはや中盤戦。(月波与生)
お悩みはナビダイヤルでお受けします20秒毎に削れる気もち ユミヨシ
死にたさがナビダイヤルに消えていく しんいち
~偶然にもナビダイヤルが重なった。「いのちの電話」はナビダイヤルではないが架けた方はこんな感覚なのだろうか。(月波与生)
初夢の中にもう君はいないの 季川詩音
~「初夢」は俳句では新年の季語になるが、もしかしたら今年4月になって初めて夢を見たのかもしれない。また、「初めて見た夢」とも解釈できる。すべてのひとがそうとは限らないが、同じ夢を何度も見た経験があるひともいるだろう。しかしどちらにしても君はもういなく、君は別のひとの夢へと川を渡った(蔭一郎)
あの頃に夢みた私です(自称) しろとも
~『あの頃に夢みた』なので、なりたかった自分になれたのかなと思いました。ただ、(自称)っていうのがポイント高いですよね。違う可能性だってありますから。(季川詩音)
花が咲く季節に雨が降ってくる 武井窓花
~花は、雨が降らないと咲かないですよね。人生にも言えるような気がします。綺麗であり、さらに詠むと教訓的な作品でもあると思いました。花が咲く季節といえば、春のイメージがありますが、夏や秋、冬に咲く花だってありますね。読み手側に委ねられているので想像が膨らみます。(季川詩音)