さみしい夜の句会報 第215号を発行しました

さみしい夜の句会
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         UnsplashPietra Schwarzlerが撮影した写真

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さみしい夜の句会報 第215号(2025.3.30-2025.4.6)

第215号の参加者は54名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

今週も作品へのコメントが多く感謝しております。最初、コメントを書くことは難しく感じますが短くても感じたことを言葉に表してみてください。「作者の考え」と同じじゃなくても何の問題もありません。正解を求めるゲームではないのです。

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◆ 参加者(54名)

クイスケ、海馬、石原とつき、しまねこくん、鈴木正巳、輪井ゆう、西脇祥貴、宮坂変哲、魔理沙、shyisnormal、砂原妙々、舞風 奏、カオルル、もりまりこ、山田真佐明、しんいち、西沢葉火、蔭一郎、笛地静恵、水の眠り、桜咲蓮希、汐田大輝、呪街管理人、季川詩音、カオルル、冬野志奈、匂蕃茉莉、胡椒 黒、代本版、気まぐれさん、流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬、武井窓花、松柏木、なさわご、雷(らい)、岡村知昭、ひいらぎ、片羽 雲雀、何となく短歌、幾美、ユミヨシ、板里カエ、アリタ別館、水柿菜か、nes、まどけい、しろとも、石川聡、何となく短歌、けろけろ、名犬 ぽち、ShunSaito、月波与生

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◆ 川柳・俳句

照れ隠しならばいいのに四月馬鹿 片羽雲雀

あとがきの余韻の街で春になった 雷

飛び出してみても月まで歩けない 武井窓花

どうぶつの森の半径を求めよ nes

エントリーシートに隠された忍者 nes

朝の空港に恐竜の骨動く nes

四月また臓器の裏が濡れている nes

俊寛に桜蕊降る農歌舞伎 鈴木正巳

どうですかのど飴山田太郎味  岡村知昭

手術台に敷きつめられる春落葉 蔭一郎

晴明やなんか絵手紙ってきらい 蔭一郎

助手席のパイナップルが外を見る 蔭一郎

エイプリルフールたすけてかみがない 蔭一郎

そのことは霞をとおしてくれないか 蔭一郎

わたくしもそらも四月馬鹿の味方 蔭一郎

湯舟にも諭吉をためた場所があり 山田真佐明

泣いているひとの涙に砂糖足す 山田真佐明

水草が生えれば縁の切り時ね しまねこくん

鳥になり帰つた庭の三輪車 しまねこくん

鳴く亀も鳴かない亀も裏返す しまねこくん

サンダルの底に桜を持ち帰る しまねこくん

たんぽぽの為に天国増やしちやう しまねこくん

たんぽぽの声音でお湯が沸きました しまねこくん

エジプトに繋がつてゐる春霞 しまねこくん

フロリダの太陽よりも河馬に似る 汐田大輝

八月に灰がふるとき饒舌に 汐田大輝

なめらかな世界がとてもむずがゆい 汐田大輝

鳥取の虚栄としての砂あらし 汐田大輝

死にたさがナビダイヤルに消えていく しんいち

口紅の付いたストローふりかざす クイスケ

ポン・デ・リング投げて万博跡地とす 海馬

尺骨はミニマリストの明晰夢 海馬

   *

それから金星の三日月なりグノーシスなり回鍋肉をしてやられた 石原とつき

選択の樹形図読み終えられない 輪井ゆう

奴も西向きゃ中島みゆき 西脇祥貴

舞茸などでつくる中島みゆき 西脇祥貴

遅くとも今からもがきはじめよう 宮坂変哲

運命かツイてないのか宝くじ 宮坂変哲

空耳でいいから愛を聴かせてよ 宮坂変哲

夜桜の 幻想的な 影二つ 魔理沙

コーヒーにミルクを入れる春の風邪 shyisnormal

扉開くたび新しい町の春風 カオルル

おはようございます並べ 西沢葉火

春雷のバベルの塔の屋上に 笛地静恵

赤い服 ライブに着てくの 最後かな 桜咲蓮希

卒業式玉ねぎなしの涙 季川詩音

また今日も理由わからぬ脱退か 季川詩音

夜の校庭揺れてるブランコ見てはだめ 冬野志奈

身ひとつでおいでください ひろばより 代本版

あなたのことはもう過去形でしか話せない 気まぐれさん

洗い物の 水が優しくなって 春 流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬

泣きなさい泣きなさいっていうひかり 武井窓花

自転車を踏んで美人も顎の張り 松柏木

忘れがたく心の奥に凍る雪 なさわご

お味噌汁 まいにちたべたい フリカケご飯 呪街管理人

すみれ待つ空の行方を知らぬまま ひいらぎ

寝違えた それは違うよ マリオネット 板里カエ

ため息もコルク栓して寝かせましょ アリタ別館

眠れない夜はスマホを友とする まどけい

波音と愁いを掬ぶ花ぐもり 石川聡

鳥曇りようようあしたは年度末 けろけろ

   *

正解はないが間違えてるあなた  月波与生

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◆ 短歌

ぬいぐるみの眼はボタンだというのになんでも見てきた眼をしている もりまりこ

あとがきのような恋をしてページ ひらいたままでいる もりまりこ

振り向いて手をふるたびに一枚の写真としての解像度が増す 水の眠り

米5キロ この時のための自転車のタイヤがパンク春まだ遠し ユミヨシ

お悩みはナビダイヤルでお受けします20秒毎に削れる気もち ユミヨシ

メッセージリクエストから溢れ咲く(null)さんたちの体位とお金 胡椒黒

   *

いつ誰の審判だって侵せないとこを作ろう小枝でひいて 砂原妙々

病み果てて行く所まで行ったとてそこに何かが有るでもなくて 舞風 奏

今一つ手応えもなく迎えゆく四十路の曲がり爪のささくれ 匂蕃茉莉

午前四時ふたりぼっちのワンルーム遠くに雨音がある、死にたい 幾美

空を切る手強く強く握りしめ もう会えぬ人を探しているのか 水柿菜か

繰り返す さくら見るたび思い出す人がいる春 場所がある夜 何となく短歌

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◆ 詩・短文

掲載作品なし。

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◆ 作品評から

あとがきのような恋をしてページ ひらいたままでいる もりまりこ
 ~失恋をしてまた恋をしたものの、また失恋してしまった。そう詠みました。失恋後の心のつらさはなかなか癒えないものです。そのページを閉じてしまったらすべてが終わってしまうかのようにすら思い、覚悟ができずになかなか閉じれないものですね。(季川詩音)

サンダルの底に桜を持ち帰る しまねこくん
 ~サンダルと桜の取り合わせが面白いです。北海道だとまだ寒いのでサンダルを履くような時期ではないような気がしますが、東京のように暖かいところだとあり得ることなのかもと思いました。春なのか夏なのか、いつの時期なのかを読者側に委ねていて面白いです。(季川詩音)

たんぽぽの為に天国増やしちやう しまねこくん
 ~『増やしちやう』というのが愛らしいというか、子ども時代を想起させます。いずれ綿毛になり空に消えてしまいます。その行き先はきっと天国なのかもしれません。たんぽぽのためであれば、いくら労力がかかっても天国を増やす気持ちになるかもしれません。(季川詩音)

扉開くたび新しい町の春風 カオルル
 ~開けるたびではなく、『開くたび』というのが興味深いです。誰かが扉を開けているのでしょうか。たとえば、初めて行くカフェで長居をしていて、お客様が来るたびに感じたことのない春風を感じているようにも思いました。やや高級感溢れるというか、ヨーロッパの街並みもイメージしました。(季川詩音)

晴明やなんか絵手紙ってきらい 蔭一郎
 ~絵手紙は、読むのは楽しいし好きなのに、いざ作るとなると難しいし嫌いという感情が出てきます。「読むのは好きだけど、つくるのは嫌い。」ともよめるし、「絵手紙は読むのもつくるのも嫌だ」ともよめて面白いです。(季川詩音)

奴も西向きゃ中島みゆき 西脇祥貴
 ~横顔が芸能人に似てるってことはよくありますよね。『西向きゃ』とあるので、正面は似てないが、横顔はよく似ている。そう詠みました。面白いです。(季川詩音)

たんぽぽの声音でお湯が沸きました しまねこくん
 ~ぬるっ(名犬 ぽち)

身ひとつでおいでください ひろばより 代本版
 ~身ひとつというのがなかなか面白いです。単に遊びにきて欲しいのかと思いきや、意外と喧嘩上等だったりするのかなと思ったりしました。捉え方によっては恐ろしくも、楽しくもなる面白い作品です。(季川詩音)

深夜二時、彼の寝言で目が醒める 夢で見ないでわたしは此処よ 水柿菜か
 ~「彼の寝言で目が醒める 夢で見ないでわたしは此処よ」はとても面白い。「深夜二時」で状況説明をしているがこれが必要かどうか。もっとふさわしい言葉があるような。(月波与生)

死ぬ時も五分進めていた時計 西沢葉火
 ~時計を進めて生活している人はどのくらいいるのかわからないが日本には5分前行動というありがたくない美徳がある。死に対しても5分前行動とはやりきれないおとうさんではないか。(月波与生)

薊濃し聖書に多き罪の声 鈴木正巳
 ~教えがキリストによる贖罪であることを思えば「聖書」には罪多きことが記載されているとも言える。「薊濃し」とはまた絶妙な語り出し。(月波与生)

エジプトに繋がつてゐる春霞 しまねこくん
 ~海外までにも及んでいる。柔軟で面白い着眼点だと思いました。文字数だけで言えば、フランスや、アメリカなどでも成立します。しかしながら、エジプトを選んだのには、どこでも良いわけではなくそれなりの理由があるのかなと思いました。春霞がかかったエジプトはなんだか綺麗そうです。(季川詩音)

卒業式玉ねぎなしの涙 季川詩音
 ~玉ねぎというと歳をとっている私は爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で 」という曲を思う。この曲は武道館のことを歌っていて、玉ねぎは武道館の屋根にあるあれである。武道館で卒業式を行う大学は今年8校。しかし、この句はなんらかの理由で卒業式には出席しなかった。なぜ出席しなかったか想像する。(蔭一郎)
 
 ~思い出の玉ねぎを一皮一皮剥いて泣く姿を思い浮かべました。(宮坂変哲)

助手席のパイナップルが外を見る 蔭一郎
 ~助手席のパイナップルとは、とても面白い表現です。買い物帰りなのかなと思いました。あるいは、パイナップルというあだ名の人間なのかもしれません。いろいろ想像できて面白いです。(季川詩音)

 ~か、かわいい(思わず出た第一声)です。なんだか不思議とこのパイナップルに愛着が湧くのです。(のひとの)

そのことは霞をとおしてくれないか 蔭一郎
 ~気象条件を人間的な条件にすり替えてしまったこの句に、胸がスカッとしたのは、霞がかった春の重だるさのなせる業でしょうか?(のひとの)

遅くとも今からもがきはじめよう 宮坂変哲
 ~めっちゃ心に響きました。とくに、『遅くとも』の部分が良いです。4月始まって間もないけれども、どんなに遅くても今から何か始めよう。そう読み取りました。いつどんなときに詠むかでまた捉え方が変わってくるのも面白いです。(季川詩音)

運命かツイてないのか宝くじ 宮坂変哲
 ~違います 「ハズレる為に買っている」のです(ShunSaito)

米5キロ この時のための自転車のタイヤがパンク春まだ遠し ユミヨシ
 ~せっかくお米を手に入れたのに、タイヤがパンクしてしまった。なんて残酷なと思いました。また、『この時のため』とあるので、新品だったのかなとも思いました。こんなに不幸が続けば、春なんて全然遠くまだまだ冬とかだろと思いたい気持ちもなんだかわかります。(季川詩音)

また今日も理由わからぬ脱退か 季川詩音
 ~なにから脱退したのか多角的にとらえられる。たとえば死ぬこともある種の脱退かもしれない。とすると生まれてくることもなにかから脱退しているのではないだろうか。 脱退してその後いろんな脱退をくりかえし最後に脱退するのだ(蔭一郎)

エイプリルフールたすけてかみがない 蔭一郎
 ~髪なのか、紙なのか、色々想像してしまいました。いずれにせよ、嘘であってほしいところです。「かみ」だけに、エイプリルフールに神頼みというところでしょうか。(季川詩音)

わたくしもそらも四月馬鹿の味方 蔭一郎
 ~『そら』のことを「空」と解釈しました。今日だけは、嘘をついても許される。それは、「空」も許している。そう考えました。許しているのですから、天候は晴れなのかもと思いました。(季川詩音)

眠れない夜はスマホを友とする まどけい
 ~めちゃくちゃわかります。眠れない夜はスマホばかりいじってしまいます。寂しさを埋めてくれる唯一の友達のような感じになります。でも、スマホのライトで余計に寝れなくなってしまうんですよね笑(季川詩音)

空耳でいいから愛を聴かせてよ 宮坂変哲
 ~恋愛的な「愛」を一番初めに思いつきました。しかしながら、進学や就職、留学などで家を離れて、ホームシックなのかもと思いました。嘘でも良いから「愛」を感じたいときってあると思います。恋愛の愛、愛情の愛、いろんな愛があるので詠んでいて面白いです。(季川詩音)

飛び出してみても月まで歩けない 武井窓花
 ~すぐ近くに月があるように思えても月までは歩けないですね。たとえ勢いがあっても歩いてはたどり着けません。当たり前のことを言ってるはずなのに、なぜか神秘的というか、「月まで歩けたら」というようなささやかな希望を感じました。(季川詩音)

泣いているひとの涙に砂糖足す 山田真佐明
 ~そのときの感情によって涙の味も変わってくるらしいですね。怒りや悔しさで泣いてるときはしょっぱいようなので、この作品では怒りや悔しさの涙を流していて、そこに砂糖を足すことで加減を調整しようとしたのかなと思いました。(季川詩音)

舞茸などでつくる中島みゆき 西脇祥貴
 ~美術や図工の授業を思い出しました。葉っぱや紙などを組み合わせて人をつくったことがあります。しかしながら、舞茸は使ったことがないので、言葉のチョイスが面白いなと詠ませていただきました。(季川詩音)

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