さみしい夜の句会報 第211号(2025.3.2-2025.3.9)
第211号の参加者は60名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
投稿はテキスト文字でお願いします。編集が煩雑なのと誤記を避けるため画像のみの投稿は週報には載りません。(週報へコーピー可能なテキスト文字のみ受け付ます)。新たな人が増えましたので今回改めての連絡です。
◆ 参加者(60名)
クイスケ、海馬、石原とつき、何となく短歌、宮坂変哲、しまねこくん、笛地静恵、季川詩音、太田葵、輪井ゆう、舞風 奏、武井窓花、塩の司厨長、円山すばる、西脇祥貴、しんいち、石川聡、水の眠り、西沢葉火、片羽雲雀、靈夢、蔭一郎、涼閑、涼、ゆりのはなこ、汐田大輝、池田 突波、夜ポエム寄る、山田真佐明、内海千智、tooo、流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬、江口ちかる。、chu短歌、てん / 短歌、代本版、谷下弱弱(たにしたつよし)、月瀬 葵葉、しろとも、ダリア220、雷(らい)、アリタ別館、黒い兎02、呪街、幾美、山羊の頭、牛田悠貴、ウーたん46、結生、まどけい、souko守宮、岡村知昭、気まぐれさん、towe(たお)、あしあと、水柿菜か、ホワイトアスパラ、人見佐一、名犬 ぽち、月波与生
◆ 川柳・俳句
未払いの絵の具サロメの皮を剥ぐ クイスケ
タイムカードが吐いた短鎖脂肪酸 クイスケ
ささくれだった掌の上で踊る 海馬
すこしずつ忘れてゆく声の湿度 武井窓花
耳の日のドアノブすこし固くなる 蔭一郎
いつかまた中間テスト配られる 蔭一郎
蟻たちのためだけ方舟を増やす 蔭一郎
数式で踊る阿呆をあぶりだす 牛田悠貴
目くじらを収穫したら感謝祭 牛田悠貴
老木のにじんだ声を聴いている 江口ちかる
臀部だけ残し椋に溶けている 江口ちかる
前傾の桜今日は飛び立つ日ではない 江口ちかる
姉さんをサヤえんどうにしたい春 汐田大輝
塁審のひとりひとりに憑く狐 汐田大輝
親方の代わりの蛇が這いまわる 汐田大輝
限りなく無音に近いシジミ汁 汐田大輝
一回で使い切れない広辞苑 西沢葉火
穴を出た蛇に足音盗まれる しまねこくん
ものの芽はののののののの芽であつた しまねこくん
爆買いも大道芸の1種だよ 内海千智
古本の川をのぼって産卵す 山田真佐明
アルメリア浮き足だって仁王立ち 片羽雲雀
西家から震え立つ中島みゆき 西脇祥貴
私を忘れ嘲笑う猛犬注意 輪井ゆう
*
朝が来る望んでなんかいないのに 宮坂変哲
コーヒーの湯気を吹いてる寒い朝 笛地静恵
自分へのプレゼントだけ決まらない 季川詩音
海原に捨てにゆく血縁と花 武井窓花
泣けるなら泣いてごらんよ夜鳴き蕎麦 塩の司厨長
しゅくしゅく春のあめ六本木も坂ばかり 石川聡
石化する人をときどき盗み見る しんいち
啓蟄の日の地底人 西沢葉火
乱雲の兆し心の奥処にも 涼閑
サウナの日救急車来て盛り上がる 涼
手放して子宮の痛み和らげる ゆりのはなこ
去年より綺麗になつた春キャベツ 池田 突波
まわれよ個しっぽ主義のさだめと 代本版
口笛をぴゅーると吹いて恋を待つ しろとも
啓蟄や私のエロは古臭い ダリア220
偶然の真実だけを打ち明ける 雷
傘を忘れた夢と旅 アリタ別館
言葉は枷 枷をつけながら歩く 呪街
飼い猫に餌を与ふ夜春隣 まどけい
誕辰や闇の温きにかへりたし souko守宮
春なのに人魚いっしょうけんめいだ 岡村知昭
役割の変わり目にいる家族 towe(たお)
菜の花と目を逸らさずに風の中 人見佐一
*
プルタブにもれなく付いている耳毛 月波与生
◆ 短歌
咳止めに dl-メチルエフェドリン独りのこころも ゆるしてほしい あしあと
ちっぽけなわたしちっぽけなプライドちっぽけなのにめんどうなひと 何となく短歌
ドラム缶の缶やハゼ釣りのハゼや「趣味に作者不詳です」 石原とつき
*
深夜2時ネギラーメンAセット1年前は分けていたのに 太田葵
人生を味わうと海の味がするカンブリア紀で先祖が笑う 円山すばる
陽だまりをだれより早く陣取って地主のような野良猫の背 水の眠り
友人と 『LINEで追加』して終わり 住所もTELも 何も知らない 靈夢
悲しみに擬態している寂しさをなだめすかせて抱きしめている chu短歌
クラウドに自分の全て遺せたらそちらでわたし永久かしら てん
行楽は嫌いだけれどイベントは好きだから梅を食べ春思ふ 谷下弱弱
半分こしたティラミスは美味しいね しょっぱい涙もわけわけして 月瀬 葵葉
絆とは手綱が元だと知った夜しがらみ解いて前に進む 黒い兎02
祈りなど呪いみたいなものだから死んだら海に骨を蒔いてね 幾美
助けられ助けて感謝生き様とひとりじゃできん仕事を選ぶ 山羊の頭
三年の 共に苦楽を 乗り越えて センター並ぶ 和とアルノ ウーたん46
華金の音漏れがして 数えてた羊も行ってしまった三時 結生
真夜中のホラー漫画 怖いページをひとり乗り越える 気まぐれさん
えらいねと優しく褒めて欲しかった 頭を撫でてもらいたかった 水柿菜か
実験の結果はいつもおんなじで誤差の範囲と結論づけた ホワイトアスパラ
◆ 詩・短文
鏡の中の自分に
知らない人のふりをする(流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬)
◆ 作品評から
コーヒーの湯気を吹いてる寒い朝 笛地静恵
~「湯気」の部分が好きです。どれだけ寒い朝なのか伝わってきます。(季川詩音)
ものの芽はののののののの芽であつた しまねこくん
~し、しらなかった(名犬 ぽち)
寄る辺ないわたしときみで寄る辺ないまま歩いているさみしさの縁 𝘮
~「寄る辺ない」は強い言葉で川柳には使いにくいがリフレインを効かせたリズムで読ませる。(月波与生)
招き猫だけが本物だった店 雷
~味のある句。置物の「招き猫」が本物だったのか、ただの生きている猫だったのか。(招き猫としては偽物)(月波与生)
残ってる君の温度をジャム瓶に詰めて毎朝パンと食べるね 漁火いさな
~大事に取っておくのではなくてとっととパンに塗って食べちゃうのがいい。よい思い出の使い方。(月波与生)
恋人が不埒な鳥を飼いだした 内海千智
~「不埒な鳥」が可笑しいが恋人とというのはわかり合えるまでが大変な生き物でもある。(月波与生)