UnsplashのAndrik Langfieldが撮影した写真
さみしい夜の句会報 第209号(2025.2.16–2025.2.23)
第209号の参加者は54名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
22日、第4回目の「さみしい夜の句会」リアル句会を青森市で開催できました。歴史的な大雪の中川柳を始めてみたいという人が4名も集まってくれました。今後も川柳を続けてほしいと願いつつ、またそのためにできることがあれば応援していきたいと思います、参加者のみなさん、ボヘミ庵のマスター、ありがとうございました。
◆ 参加者(54名)
石原とつき、しまねこくん、なさわご、片羽雲雀、汐田大輝、輪井ゆう、西脇祥貴、、塩の司厨長、アリタ別館、宮坂変哲、水の眠り、上崎、山田真佐明、山羊の頭、crazy lover、季川詩音、西沢葉火、蔭一郎、笛地静恵、しろとも、柊琴乃(あさがお)、みずがき なか、休息、谷下弱弱(たにしたつよし)、ホワイトアスパラ、代本版、雷(らい)、ゆりのはなこ、岡村知昭、石川聡、牛田悠貴、ハッカ飴、影藤遥香、松柏木、火野うづみ、藤井由加、まどけい、けーあい999、内海千智、人見佐一、川瀬十萠子、東こころ、琉生、漁火いさな、a個、狢川 久恒、苔土演技、海馬、クイスケ、涼閑、名犬 ぽち、ウーたん46、ひまわりのえがお、月波与生
◆ 川柳・俳句
飛び出した心臓だっておれのもの 海馬
当たり前のように迷路を描いている 海馬
透きとおるようにご飯を食べている 海馬
つちくれで創るヒト科のヒトデナシ 海馬
群島の寝息で点る火のかたち 代本版
フランスパンまで身体を忍ばせる クイスケ
尿意や祝福よ手漕ぎオルガンにところてん狩り 石原とつき
かわうそのまつりの輪からはじかれる 蔭一郎
二人いるとかじかむ中島みゆき 西脇祥貴
寝る/煙る 後者なら中島みゆき 西脇祥貴
薄情と思ふか白いヒヤシンス しまねこくん
世の中の仕組みがもつとクロッカス しまねこくん
花の宿嫌いな人の名で泊まる しまねこくん
臍でオルガンを弾く罪深さ 汐田大輝
サイロから豆腐の音がしてこわい 汐田大輝
堂々と馬齢を重ねフウイヌム 笛地静恵
春風と言いはる夜の歩道橋 上崎
スプリング・コートはじめて乗る列車 上崎
袖口に夜がにじんでしかたない 上崎
安眠のそこから先は未来です 上崎
もう僕は燃やせるものがない夜寒 宮坂変哲
蒙古襞の有無を問われ壺を割る 片羽雲雀
晴れた日は波打ち際をかがり縫い 輪井ゆう
*
青い空落とした涙踏みにじる なさわご
寝かせなくてもふとんなんだね 内海千智
曇天に星を探してゐるカルテ 塩の司厨長
爪とぎは白鳥の羽くわえ込み 山田真佐明
ほっぺにチュー居心地よくて勘違い 山羊の頭
青空にデカいわたあめふわふわと 季川詩音
素晴らしきエバラ式タレ 西沢葉火
水を飲む乾いた眼(まなこ) は捨てていく しろとも
クロッカスそんなものだよ人生は 柊琴乃
群島の寝息で点る火のかたち 代本版
大した事でもない事を言い忘れていた 雷
いま、わたしつまづいたまま春の雲 ゆりのはなこ
鳩ですよブリキのマリア起きなさい 岡村知昭
ミモザミモーザ碧師のベッドのしずかな白よ 石川聡
週中の目覚めの朝出勤のだるさ 影藤遥香
春二番私はすごい嫌なやつだ 松柏木
ユーカリの倒木ありて春の風 まどけい
海鳴りの音に曳かれて旅鴉 涼閑
春過ぎて夏秋過ぎて冬過ぎて けーあい999
萼の中黄色く眠り春を待つ 人見佐一
子は母を捨ててしまえり蕗の味 川瀬十萠子
3月の予定にきみが出てこない 東こころ
舌の上 プリプリ感じる 鰤の味 狢川 久恒
*
逆夢を短辺とじにして捲る 月波与生
◆ 短歌
午前四時地下アイドルへサイリウムの円をえがけば美しい風 水の眠り
*
猫の目に星と心臓ざわめいて夢魔も逃げ出し眠り邪魔され アリタ別館
愚かだと懐かしむ余裕もなく ただ喧騒に佇む crazy lover
寂しくて抱き枕ぎゅっと握りしめ あなたの代わりにならないと気付く みずがき なか
くっしゃりとゆるんだ君の熱だけがとびっきりのたしかな引力 休息
雪が舞う暗い夜道に紙吹雪ストリートからアカデミー賞 谷下弱弱
猫ならば許されるだろう 君の側ずっと寄り添い眠っていたい ホワイトアスパラ
分厚いハンバーグの底からは俺たちの始原が垂れているよな 牛田悠貴
「細くって折れそうだから」と出し入れを緩める優しさ少しいじわる ハッカ飴
グッド・バイ 慣用句だとした人は自分ひとりが長生きしたの 火野うづみ
洗濯機出て来たカイロにごめんねと揉み擦っていた午前2時半 藤井由加
鏡には同じ顔したわたくしが 気付かなかったシミひとつ見つけ みずがき なか
会いたいと願えば夢に出るように月の鱗粉を買い占めたのよ 琉生
人肌がこわくてコインランドリーの温度にしか打ち明けられず 漁火いさな
わたくしはたったひとりで目玉焼き 因数分解解けずに裂けた a個
「終電。」と執着もなく手放され 持ち手不在で漂う夜凧 苔土演技
◆ 詩・短文
投稿先品はなし。
◆ 作品評から
薄情と思ふか白いヒヤシンス しまねこくん
~けっこう情に厚いと思うよ~。ぽちが空腹で倒れていたらパンくれたからね。(名犬 ぽち)
本命が変わって青を集めだす 東こころ 男子校から見えるめちゃくちゃな青 クイスケ
~「青」の句がふたつ。青が散るという青春小説もありました。(月波与生)
土下座には土下座の手本梅匂ふ しまねこくん
~youtubeにありそうな「土下座の手本」。今やyoutubeで確認可能なことばかりだが、逆に誰もやっていないことが可視化された時代ともいえる。(月波与生)
身体の深いところで動いてるウイルスソフトが今夜も重い ユミヨシ
~ついにこういうことを書く人が出てきたかという思い。川柳はまだまだだな、ついと遠い目をしてしまう。(月波与生)
脳内の歌だけ響く部屋にいて なさわご
~脳内の歌が響く特定の部屋がある、という発想は面白い。が、部屋まで書いてしまうと字数になってしまうので下5は別なことを書いた方がいいかもしれない。(月波与生)
青空にデカいわたあめふわふわと 季川詩音
~いい句だ(ウーたん46)
春過ぎて夏秋過ぎて冬過ぎて けーあい999
~次の春にさらなる幸せに出会えますようにお祈りします。幸せでいてくださいね(ひまわりのえがお)
さみしさを夜な夜な煮詰めジャムにするジャム職人の夜が更けてゆく 𝘮
~ジャム職人への着地が心地よい。さみしさもジャムになる。無駄なことはひとつもないのだ。 (月波与生)
知らない男の横顔が自分である写真 雷
~なるほどなと思う。直接見えない自分の顔ほど曖昧なものはない。「男」はいらないかも。(月波与生)
素晴らしきエバラ式タレ 西沢葉火
~しばらく考えて意味わかった。ほめて。(名犬 ぽち)