さみしい夜の句会報 第205&206号(2025.1.19-2025.2.2)
第205号&第206号の参加者は82名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
合併号となりましたが久々に80名を超える方から投稿がありました。いつも以上の作品の投稿、作品に対するコメントの投稿に感謝します。コメントは「いいね、好きです」だけでもいいのですが、何が好きか、どこがよかったかも書いていただくと作者の方はより嬉しく感じます。みなさんで「さみしい夜の句会」を実りのある創作の場として育てていってください。
◆ 参加者(82名)
しまねこくん、アリタ別館、蔭一郎、谷下弱弱(たにしたつよし)、汐田大輝、笛地静恵、石川聡、ユミヨシ、わたなべ、西脇祥貴、牛田悠貴、石原とつき、塩の司厨長、内浦穂高、西沢葉火、片羽雲雀、輪井ゆう、宮坂変哲、江口ちかる。、しんいち、山田小太郎、影藤遥香、季川詩音、まつもともとこ、内海千智、胡椒 黒、みみみ、まどけい、水の眠り、ハッカ飴、朝森たけ、𝘮、akao、a個、漁火いさな、砂原妙々、何となく短歌、恭仁涼子、大月、雪夜彗星、星野響、千春、人見佐一、まさむぼむ、しろとも、なさわご、桔梗、souko守宮、ダリア220、らいる、リンネリンク、休息、えびのこ、みずがきなか、古城エッ、蜜、アハト、白石ポピー、ゆりのはなこ、流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬、雷(らい)、似鳥、城水めぐみ、ウーたん46、五月雨まいまい、東こころ、みや、麻実もゆら、丹野 和法、クイスケ、海馬、成瀬悠、川柳アンジェリカ、名犬 ぽち、かれん、朝の露となりて、甘酢。、山谷摩耶、鎌田依里、光の日記、ニイヤマン、月波与生
◆ 川柳・俳句
始まりは頻脈お別れは徐脈 城水めぐみ
手ぐししてパンタグラフに散る火花 蔭一郎
わたくしが高野豆腐へしみてゆく 蔭一郎
密室の容疑者たちは豆を撒く 蔭一郎
遺された言葉で実る烏瓜 片羽雲雀
水仙に法螺を吹かせて踊る犬 片羽雲雀
くたくたで聴くラジオの小沢健二 雷
読んだ後の町になる葉書 雷
ぐうの音はぐうと出るのか冬深む しまねこくん
数の子の数は大人のなり損ね しまねこくん
二本ならミスとミセスになるセロリ しまねこくん
青蜜柑仮面夫婦のそれぞれに しまねこくん
匂わせに来ても湯豆腐なんだよな しまねこくん
ウィンクでふくら雀を出しますよ しまねこくん
炬燵には心の声を話せるか しまねこくん
なんしょん。の鋭さ 背中の包丁 胡椒黒
春までは乾燥イカのままでいる 汐田大輝
ふるさとの大統領が飲むミルク 汐田大輝
世界から追放された小糠雨 汐田大輝
抜けたときなぜか二人になる不思議 汐田大輝
ぎりぎりの都内で犬が吠えている 汐田大輝
浅き春不屈の菓子が並び立つ 汐田大輝
人間のままで小梅になりすます 汐田大輝
湯を張れば生まれたふりがうまくなる しろとも
くぼみというくぼみに塔を建てました 江口ちかる
対岸にドッペルゲンガー芙蓉の実 江口ちかる
うそつきみたいな顔してバスは茱萸柄 江口ちかる
冬の雲給水塔に神話あり 星野響
ルーブル美術館をかならず脱色するパンダ 大月
図解の海をもう見たくない 内海千智
停車ボタンに報復を 西沢葉火
背面跳びで貼る切手 西沢葉火
FAXで送られてくる怪文書 宮坂変哲
生物でたぶん人だけ正常位 宮坂変哲
笑う方へばっかり転がる寒卵 石川聡
本心がいつも見切れる二眼レフ 石川聡
冷めても美味しい降車ボタン しんいち
画をやめた双頭の中島みゆき 西脇祥貴
あいさつ代わりの貼る中島みゆき 西脇祥貴
とぼとぼと主義者を抱いてしずむ鍋 牛田悠貴
脇道にそれた野草を信じ込む 牛田悠貴
今日もまた大学いもが降っている 成瀬悠
対岸の献立ばかり目立ってる 成瀬悠
きさらぎ駅に塩レモンは置かない 成瀬悠
キラキラにした引退を招き込む クイスケ
心理戦とかやりたくない山茶花 クイスケ
伝令が病みつきになるだから何 海馬
占いに依存して猫背の深夜 東こころ
*
埼玉のうどんのジョーは泳ぐかな 笛地静恵
繰り返すどうなろうと わたなべ
鰐な二重否定よピクルスよ手を焼く 石原とつき
ストライドストライド蹴躓かずに 塩の司厨長
もの言いたげに開く親指の傷 輪井ゆう
さようならスマホが熱くなりすぎた まつもともとこ
早足になる帰り道冬三日月 みみみ
色鳥も恋をするなり日記書く まどけい
言い訳は燃やせる塵へ春隣 akao
犬噛むと虫歯が治るという教え 恭仁涼子
覚えてるあなたがくれたさくらんぼ 季川詩音
寒空の尖い金星誰を射る 雪夜彗星
夫婦喧嘩は星屑にまみれている 千春
夜のたび見上げる絵画オリオン座 なさわご
首元だけチクチクしないニット買う souko守宮
冬林檎香る思う親の病状 ダリア220
このキスも明日は何処で咲くのやら アハト
皸に厨の母が泣いてゐる ゆりのはなこ
走馬灯、きみが生まれたところから 似鳥
ぬいぐるみとわだばゴッホになる話 大月
サンデルと ピケティ語る 「平等」を 丹野 和法
しなやかなイルカ貴方を泳ぎきる akao
*
犬と一緒に犬の字に寝る 月波与生
◆ 短歌
速報も極秘も有料記事どれも僕には必要ないって知ってる ユミヨシ
「だれもいない」その独白を見て僕は自分が透明なことに気づく ユミヨシ
星砂を小瓶にいれて持ちかえり六畳一間が渚になった 水の眠り
何者かになりたい人の情念のごと立ちのぼる酒蒸しの湯気 水の眠り
褒められず育ったわたしが褒め上手それを褒めてと誰にも言えず まさむぼむ
だいじょうぶ、だいじょうぶってこんが言う わたしのなかのわたしだけのこん 𝘮
きみだけに教えてあげるさみしさは口に含むと甘いということ 𝘮
空容器としての機能を備えてその辛酸を口から受ける 砂原妙々
こんな夜さかさま鳥のマティーニをランプシェードを深くかむって 白石ポピー
*
逃げ出した?身を引いただけそれだけと今夜も自分に言い聞かせて アリタ別館
福よりも刺激求めて鬼は内恵方巻きより紙巻きタバコ 谷下弱弱
「好きという」言葉の軽さから滲む 永遠に過ごした 独白の空 内浦穂高
選択肢なけりゃ迷わず済むという副産物を享受する夜 山田小太郎
諦めず努力し続ければ必ず夢は叶う叶えられるのは一握り人だけ 影藤遥香
「若い人よくきたね」って婆ちゃんが施設の窓辺で優しく笑う ハッカ飴
いつか来る死への恐怖に戦いて一人見上げる今宵の月よ 朝森たけ
半分のチョコレート喰む真夜中に月みたいだね笑うのは誰 a個
腰までの黒髪を振り回しては殴れぬものを殴っていた頃 ユミヨシ
会いたいと呟くほどにきゅっと鳴くこころはついに涸れて あ、痛い 漁火いさな
ゲームなら幾度も幾度もトライしてコツが掴めるなのにどうして 何となく短歌
憧れたものにはもうなれないとしても自分の旅を続けよう 人見佐一
君が降り右隣の座席寂しげに寄り添ってくるから僕は丸まる 桔梗
膝に猫手に愛読書ストーブの灯(ひ)なんの不足があろうか独身(ひとり) らいる
淋しくて夜の海辺を彷徨い歩く暗闇の中ただ海鳴りを聴く リンネリンク
寝癖見てよと笑う22度きみの聖域は頭頂部から ホシクズ
おほしさま、やさしい夜を届けてよおんなじようにさみしいひとに えびのこ
夢のなか出てきてくれたあなたしか愛する事がもうできなくて みずがきなか
お一人が好きな訳では無いけれど群れることなど尚更できない 古城エッ
なんとなくママの声がしたような違う腹減ってる幻聴だわ 蜜
世の中に 暗いニュースが 溢れてる 作品くらいは 明るくしたい ウーたん46
大寒に8チャンネルは凍りだし震災みたいなCMだった 五月雨まいまい
特別なことはなんにもなくていいあしたが変わることがなければ みや
◆ 詩・短文
さらさらと 流れる時を
膝を抱えて やり過ごす(流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬)
僕が僕であるために
彼の歌が苦手だった
だけど
今ならわかる
無駄に歳は取らなかったようだ
私は私であるために…
私は私のために…
またこうやって
眠れぬ長い夜
スマホ抱えて
彼の歌声に涙する(麻実もゆら)
◆ 作品評から
本心がいつも見切れる二眼レフ 石川聡
~わかります〜二眼レフは見切れます!(川柳アンジェリカ)
「だれもいない」その独白を見て僕は自分が透明なことに気づく ユミヨシ
~ごめんなさい(たまこ)
炬燵には心の声を話せるか しまねこくん
~心の声がいつもだだもれ(名犬 ぽち)
脇道にそれた野草を信じ込む 牛田悠貴
~ポロッと出そうで出ない句だなあ…と思いました しみじみ…(かれん)
浅き春不屈の菓子が並び立つ 汐田大輝
~浅春。風は冷たい。透明なガラス。駄菓子屋。扉を開く。店内には、都こんぶ、ココア・シガレット、森永ミルク・キャラメル等々。所せましと立ち並ぶ。。変化の激しい時代。昭和から生き抜いてきた。お菓子の英雄たち。威風堂々。(笛地静恵)
人間のままで小梅になりすます 汐田大輝
~人間のままが好きです。小梅になりすましたい。(朝の露となりて)
おほしさま、やさしい夜を届けてよおんなじようにさみしいひとに えびのこ
~えびのこさんの画像選びのセンス好きです…!(甘酢。)
~子守歌のようでどれも静かながらも優しく温かな歌ですね。(山谷摩耶)
こんな夜さかさま鳥のマティーニをランプシェードを深くかむって 白石ポピー
~男くさくてかっこよい(鎌田依里)
きみだけに教えてあげるさみしさは口に含むと甘いということ 𝘮
~すてきです、すきです。m さんの短歌、寂しくて暖かくてすきです、これからも楽しみに拝見します(光の日記)
始まりは頻脈お別れは徐脈 城水めぐみ
~「夜」の悲しみがとても伝わる悲しい、或いは希望ある句ですね。(ニイヤマン)