UnsplashのLorene Farrugiaが撮影した写真
さみしい夜の句会報 第187号&第188号 (2024.9.15-2024.9.29)
第187号&第188号の参加者は66名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
『現代川柳満天の星』第5号の発行と重なり句報が遅れたことをお詫びいたします。川柳作家の奈良一艘さんが末期のがんで余命半年であることをおかじょうき誌にて自ら公表しました。 #一艘頑張れ のタグを作りましたので川柳を書いて励ましていただければありがたいです(もう読めないかもしれませんが)
◆ 参加者(66名)
東こころ、水の眠り、しまねこくん、多生、吾意羅、菊池洋勝、胡椒 黒、片羽 雲雀、うつわ、リンネリンク、西脇祥貴、ユミヨシ、クイスケ、山野たみ、石原とつき、何となく短歌、mine、おかもとかも、花野玖、朝森たけ、西沢葉火、輪井ゆう、蔭一郎、souko、牛田悠貴、江口ちかる。しろとも、まつりぺきん、宮坂変哲、平松泥沸、空飛ぶ!山田真佐明、山羊の頭、ハッカ飴、みや、汐田大輝、松柏木、ひともじ庵、城水めぐみ、石川聡、上崎、fuu_、crazy lover、徳道かづみ、しんいち、月立耀、児島成、鷺沼くぬぎ、石畑由紀子、小沢史、雷(らい)、涼、松菊梅、馬勝、古城エッ、中村 火柱、suzume suzuki、もふもふ、奥かすみ、ろいくちゃん、シャイニング兄貴、サトポン、毛糸、名犬 ぽち、月波与生
◆ 川柳・俳句
爽やかに紐になつてくTバック しまねこくん
当選は無効太刀魚でも無効 しまねこくん
Zではなくて地虫はDですよ しまねこくん
困つてる人に興味が無いゴーヤ しまねこくん
額縁の外にゴッホの十六夜の しまねこくん
スイスでは鳩をホルンにする季節 汐田大輝
豊島区の生家がにおう秋の虹 汐田大輝
知事室を蝕んでいく手毬唄 汐田大輝
鹿眠り夜風に縮んでゆく睾丸 ひともじ庵
鉄塔は巨大あやとりなのですよ 江口ちかる
ザッハトルテに外階段がついている 江口ちかる
苦瓜を快楽として夏、真夏 西沢葉火
空室のランプが灯るガフの部屋 西沢葉火
ワッフルの溝にあなたは堕ちたから souko
繋がった夜がカスタードに変わる 東こころ
部屋じゅうに流れる星を手ではらう 蔭一郎
傘さして雨月の欄干を歩く 蔭一郎
血を吸ひぬ蚊にも分るか退院日 菊池洋勝
サボテンの村で五感を切り落とす しんいち
お月見を忘れるほどにPDF 片羽雲雀
傾いた夏にレゲエの揺れる帰路 雷
ジミヘンに似ている人の語る夢 雷
何も無いわたしわたしとエヴェレット まつりぺきん
ピアノなら刺身が好きよ十七夜 石畑由紀子
憎めないおじさんだけが住んでいる 牛田悠貴
みんなパフェだねいじめられているパフェ 牛田悠貴
まず母が抜けてジェンガは傾いた 城水めぐみ
あまりにも鶏頭だから産みすてる 小沢史
*
かなしくはないけど道がなくなれば 多生
花野風 疚しさがHELL 片羽雲雀
顔見知り増えて行く場所無かりけり うつわ
無知と知を乗り回し中島みゆき 西脇祥貴
デコピンで急に冷めきったサロメ クイスケ
この対価どこから連鎖してますか おかもとかも
大小の命満ちたる秋の川 花野玖
髪も眉も捧げてきてなお歪 輪井ゆう
親友はダブルピースの菊人形 しろとも
残りもの定食パパの晩ごはん 宮坂変哲
早く来て本塁打になっちゃう 平松泥沸
腹肉が触れ合う夜と潮の朝 山田真佐明
棒ハンダの鈍い輝き、震える手 松柏木
終バス車庫に沈む 石川聡
またとない秋風のなか紫蘇餃子 上崎
吐息ほどの秋 漂う夕 fuu_
秋物をしまい忘れて巡る一年 crazy lover
天国のドアと地獄の釜がある 徳道かづみ
逃げていた近本ユニも捕まった 児島成
意気地無く上顎に最中の皮 鷺沼くぬぎ
エロ垢を開いて閉じる子規忌かな 馬勝
秋風にふわり飛び立つコアラが二匹 中村 火柱
あしたには人を憎んでしまう夜 鈴木雀
*
じいさんの数だけ玉手箱がいる 月波与生
◆ 短歌
よってたかって冥王星な関係代名詞のなでなでな暇 石原とつき
来年もカブトムシとかセミとかを見殺しにして誕生日は秋 ハッカ飴@短歌
あいまいなおもいでならばうつくしい たぶんおそらくきっとめいびー mine
カレーなら辛口が好き人生は望まないのに激辛がくる 山野たみ
早朝にレモングラスの爽やかさひゃっくりを呼ぶ梅握り飯 水の眠り
生き様をブルージーンズに刻むため藍は蒼くて青いキャンバス 水の眠り
キッチンのちいさなイスと三冊の本だけでももう書斎になった 水の眠り
移りゆく時の流れをせき止めて飲み込んだのはちいさいくじら みや
あの母がなんとしてでも産んだなら わたしは生きていくしかないね ユミヨシ
駄目になる僕を見るのに耐えきれず僕の部屋を出た君が好きだよ ユミヨシ
*
柔らかき心の隅の硬き棘 君の眠りの中で抜きたや 吾意羅
無駄なことだけをし合って息をするまったく遠くのひとりのぼっち 胡椒黒
海を見たただそれだけで凪ぐ心 波に攫われ泡となりゆく リンネリンク
ただちょっと線路が並んだだけだった新宿池袋間のように 何となく短歌
あと一歩手が届かずに指の間をすり抜けていく紅い薔薇が 朝森たけ
寄生虫いっそ消えてよこの世から正論不要同意も不要 山羊の頭
間違いを直すみたいな口付けをする君は今夜月へと帰る 月立耀
さみしさが寄せては返す波のよう安静にして静かに眠る 涼
亡くなった場所が場所であったから 僕の友達幽霊になる 松菊梅
近視ではない方の目は老眼でぼやけ始めた行き合いの空 古城エッ
◆詩・短文
作品はありません。
◆ 作品評から
あの母がなんとしてでも産んだなら わたしは生きていくしかないね ユミヨシ
~沁みる。ユミヨシぃ〜。(ろいくちゃん)
駄目になる僕を見るのに耐えきれず僕の部屋を出た君が好きだよ ユミヨシ
~その情景がありありと浮かんできます。せつなさも甘さもあって良すぎます。文学に馴染みの無い人にも刺さりそうです。(シャイニング兄貴)
秋物をしまい忘れて巡る一年 crazy lover
~私は年中だしてある。 インナーにしたり色々するから。(サトポン)
キッチンのちいさなイスと三冊の本だけでももう書斎になった 水の眠り
~好きです…!いじらしい、でも満ち足りた空間ですね(毛糸)
額縁の外にゴッホの十六夜の しまねこくん
~高校の時の美術教師いわく「前衛派で額縁にまで絵を描く画家もいますが、ゴッホの絵を観ると、いい絵はちゃんとキャンバスに収まるものだ、というのが分かりますね。」だそうです。いい先生でした。(鷺沼くぬぎ)
切妻屋根にはパブーシュカをかけなさい 江口ちかる
~と命令されても困るのだけど「パブーシュカ」が似合いそうな切妻屋根はありそうだ。(月波与生)
一日で箱から象がいなくなる きらめ紀
~「象」を書いた川柳は数多あり佳句も多いので評価が辛くなるのだけど(月波与生)
相撲取りの裸でテレビを見比べる 雷
~家電店のテレビ売り場の光景。普段は気にしない相撲取りの肌の色を見比べて購入を決めている。日焼けサロンにでも行ったかのような尊富士を見比べる。(月波与生)
きらきらの子宮で産んだおともだち やは
~「おともだち」を産んだのか「おともだち」が産んだのかわからない不安は出産を待つ者の不安だ。「きらきらの」が不安を払拭させる。(月波与生)
傘さして雨月の欄干を歩く 蔭一郎
~いい句をありがとうございます。 シンプルで堂々としています。(名犬 ぽち)