さみしい夜の句会報 第185号(2024.9.1-2024.9.8)
第185号の参加者は52名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
週報に掲載される作品は編者が選んだ他に評(コメント)が付いた作品です。「いいね」だけでなく、良かったと思ったところも書いてくれたら作者は嬉しいと思います。みなさんいいなと思った作品はコメントを入れてくださいね。
◆ 参加者(52名)
しまねこくん、奈津実、ハッカ飴、西脇祥貴、吾意羅、汐田大輝、羽瑠香、牛田悠貴、高田月光、リンネリンク、片羽 雲雀、クイスケ、岡村知昭、花野玖、水の眠り、souko、西沢葉火、輪井ゆう、ユミヨシ、松菊梅、しんいち、蔭一郎、何となく短歌、胡椒黒、雷(らい)、うつわ、しろとも、石川聡、帰ってきた笛地静恵、石原とつき、涼、江口ちかる。、もん、宮坂変哲、みずほ、まつりぺきん、吉永定、suzume suzuki、靈夢、月立耀は低空を飛行中、平松泥沸、中村 火柱、古城エッ、朝森たけ、暗がり、森砂季、べべ、たっかん、たまこ、名犬 ぽち、梅雨すみれ、月波与生
◆ 川柳・俳句
砂漠とは仰向けの中島みゆき 西脇祥貴
ツルツルのほうが太郎の裏側で 江口ちかる
寝坊しました天秤に乗り遅れ 江口ちかる
風吹けばあいつも地頭こいつも地頭 汐田大輝
僧侶らの心の中で飼うウナギ 汐田大輝
フランスの明かりで今日は眠れない 汐田大輝
月餅に浮きでるエゴン・シーレの絵 蔭一郎
何枚も撮りなおしてもそよぐひと 蔭一郎
仲直りしたとは言へど吾亦紅 高田月光
白露もうフルートをゆるしてあげる 高田月光
土偶かもしれない話しかけてみる 岡村知昭
不思議を小出しにされてるアリス 牛田悠貴
夕焼けまみれの姉はカメレオン 奈津実
蟋蟀が鳴く大仁田厚も鳴 しまねこくん
鰯雲夜になつても鰯雲 しまねこくん
けつ出してみた八月を終わらせた しまねこくん
逃げちゃえば卵パックなんだから しんいち
まだ蝉の鳴く信号機の音 雷
*
暴かれた白露にそっと口づけて 片羽雲雀
鳴り止まぬサロメの励ましの痛み クイスケ
靴音の路地に満ちたる白露の夜 花野玖
ジャッジする人は自信があるのだね souko
ラフランス的裸婦ざんす 西沢葉火
首の匂いに感じたい赤い糸 輪井ゆう
コロコロと変わるうつわでいいじゃない うつわ
鈴虫のほうが幾分早口で しろとも
働いて生きる理由が特にない 涼
揺れ戻る後悔達の遊園地 もん
それぞれの地獄抱えて酒を呑む 宮坂変哲
待ちぼうけ嬉ション自動販売機 まつりぺきん
病名がついたらなんて歌ってた suzume Suzuki
『グミの日』に 宝を探す ショッピング 靈夢
戦略も文脈もない鳩の群れ 平松泥沸
コンクリの皿にびっくりするトマト 中村 火柱
*
三つ指をついてあぶない橋渡る 月波与生
◆ 短歌
ランドセル背負った頃の詩のようなまっさらなのはもう書けなくて ユミヨシ
「忘れるな」西日が強く頬に差す やり残した夏なんだったっけ ユミヨシ
もうきっと返ってこないビニールの傘を渡したあの日の君も ユミヨシ
*
長い目で見ればわたしもタンパク質その胸肉と境い目はなく ハッカ飴
星月夜 近遠き遠き輝きの 君と我との距離似かようて 吾意羅
お皿には移し替えないサラダから 発せられてるサヨナラの音 羽瑠香
淋しさを両の手のひらで掬い上げそっと撒き散らして夜空に溶かす リンネリンク
ねぇ、死んで?全てを棄てて空(から)になり一等星の永遠となれ 水の眠り
次々に傘がお猪口になってゆく雷神はきっと日本酒がすき 水の眠り
くやしいな結果見えてた挑戦にずっと趣味だと言うしかない 松菊梅
忍び泣く嗚咽が知らず漏れるように 晩夏の蝉は朝にだけ鳴く 何となく短歌
哀しみは「はいるな!キケン!」をらくらくと無視する者に照らされていく 胡椒黒
銭湯絵を自慢気を反復横跳びや祈り 石原とつき
一歩とか一段だとかどちらでも進まされたり突き落とされたり みずほ
ステーキをひとりの夜に焼くことに理由なぞない塩はしょっぱい souko
逃げられる期待も背負いまた今日も深呼吸して紐を結んだ 吉永定
メヌエット コール響けばナースらがひとつひとつの命に触れる 月立耀
見えるもの全てに意味があるもので苦しいことは期限付きだと 古城エッ
初盆と義母の命日八月はとても暑くてそしてさみしい 朝森たけ
◆詩・短文
※ 投稿作品はありません。
◆ 作品評から
台風に名前パンダにも名前 しまねこくん
~台風に女性の名が付くのは真ん中に穴が空いているから…と書いたのが北村想の『ザ・シェルター』。台風の季節が来ると思い出す。(月波与生)
百年、の手話をならって挨拶を 上崎
~〈百年の手話をならって挨拶を〉と比較した場合の「、」の効果を考える。披講(音)では聞こえない「、」の響き。(月波与生)
新月に赤ん坊あつまれただし無表情で 石原とつ
~無表情な赤ん坊が集まってくる様子を想像すると結構怖い。〈新月に集まれ泣かぬ赤ん坊〉とすれば定型になるのだが。(月波与生)
土偶かもしれない話しかけてみる 岡村知昭
~たしかにそも、なにかからスタートですよね……ありがとうございます(西脇祥貴)
ねぇ、死んで?全てを棄てて空(から)になり一等星の永遠となれ 水の眠り
~もう、なんだ、言うことなし過ぎてフォローしちゃいました。無言フォローすみません、、笑素敵な短歌ありがとうございます!(暗がり)
月餅に浮きでるエゴン・シーレの絵 蔭一郎
~月餅とエゴン・シーレの取り合わせは凄い!!(石川聡)
~意外な取り合わせですが、月餅のずしりとした重さと、エゴン・シーレの重く暗い画風がマッチしているようにも思えます。 おめでたいお菓子から死と性のにおいがしてくる不穏さが面白いです。 食べてみたいような怖いような…。(森砂季)
逃げられる期待も背負いまた今日も深呼吸して紐を結んだ 吉永定
~大学生である吉永さんの短歌大好きですが、社会人になり環境が変わった時にどんな短歌を生み出してくれるのかも勝手に楽しみにしています…!!(べべ)
去年まで水平線と呼んだ傷 しんいち
~去年の傷、今年は何と呼ぶのだろう。青春ど真ん中っぽくてとてもいい句。(月波与生)
ほっとする裁縫箱が空っぽで 小沢史
~裁縫箱の中の物、鋏とか針、糸で人が殺せるということで「ほっとする」がなかなか怖い。「工具箱が空で」では怖くないところが恐い。(月波与生)
次々に傘がお猪口になってゆく雷神はきっと日本酒がすき水の眠り
~傘をお猪口にするのは風神ちゃいます?(たっかん)
もうきっと返ってこないビニールの傘を渡したあの日の君も ユミヨシ
~きゅん…(たまこ)
大人も後半になって知ることばかり 吹奏楽部をすいぶと呼ぶ、とか 胡椒 黒
~後半もだいぶ残りが少なくなったが「吹奏楽部をすいぶと呼ぶ」のは知らなかった。まだまだ知らないことばかり。(月波与生)
きりぎりす大人のいない店で呑む 花野玖
~バーの衰退とともに酒場から酒の呑める大人が少なくなった。大人はどこに消えたのだろう。(月波与生)
のの字のの字すうっと引いて糸電話 江口ちかる
~「のの字」という伝統的な艶っぽさを感じる言葉が引かれて1本の線に変わるイメージがいい。(月波与生)
鰯雲夜になつても鰯雲 しまねこくん
~夜の雲のことは、わたしも詠んでみたことがあるのですが、確かにそうだな、と膝を打ちました(本当に)。(花野玖)
けつ出してみた八月を終わらせた しまねこくん
~あら、まあ。(名犬 ぽち)
メヌエット コール響けばナースらがひとつひとつの命に触れる 月立耀
~ナースコールがメヌエットなんですね♪なるほど!(梅雨すみれ)