UnsplashのKelly Britoが撮影した写真
さみしい夜の句会報 第184号(2024.8.25-2024.9.1)
第184号の参加者は50名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
川柳を書く人間に必要なのことは誰が何と言おうと句力(くじから)です。良句かどうかは読み手の判断に任せ、毎日毎日新しい句をとめどなく作り切ることです。「さみしい夜の句会」にも毎日毎日新しい句をとめどなく投句してくる人が何人かいます。素晴らしいことです。
◆ 参加者(50名)
上崎、しまねこくん、石原とつき、何となく短歌、江口ちかる。、帰ってきた笛地静恵、吾意羅、小沢さん、石川聡、西脇祥貴、ユミヨシ、花野玖、しろとも、奥 かすみ、無作為、水の眠り、奈津実、西沢葉火、宮坂変哲、汐田大輝、靈夢、ダリア220、池田 突波、松菊梅、クイスケ、牛田悠貴、しんいち、蔭一郎、片羽 雲雀、古城エッ、多生、カゲキ・ちゃけぞう、おかもとかも、まつりぺきん、山羊の頭、雷(らい)、吉永定、石畑由紀子、朝森たけ、なさわご、平松泥沸、胡椒 黒、メタル麺、Pro 下民g team JIRO、ユタカⒷ、鷺沼くぬぎ、名犬 ぽち、べべ、かれん、月波与生
◆ 川柳・俳句
治療費の釣りを受け取る夏の果て 雷
やらかして鰯の群れに身をかくす 蔭一郎
わたくしの子宮を捜してきて下さい クイスケ
欺きの舌から放つスターマイン クイスケ
目頭と呼ばれた野球人がいた おかもとかも
チョコレートぱりん蛍ふり返る 江口ちかる
のの字のの字すうっと引いて糸電話 江口ちかる
はりぼての地下街はりぼての月のぼる 江口ちかる
どの家も棺の出ない窓ばかり 石畑由紀子
偽卵めく待合室の影のびる 片羽雲雀
着ぐるみじゃないからはやくおれをぬげ 牛田悠貴
おれたちはすっぽんぽんの洞窟です 牛田悠貴
天国に近いところで韻を踏む 汐田大輝
新月に赤ん坊あつまれただし無表情で 石原とつき
ほっとする裁縫箱が空っぽで 小沢史
目を開けたままで眠れるきりぎりす しまねこくん
新米の新だけ奪つたのは誰 しまねこくん
お刺身の間にプラ製の蝗 しまねこくん
約束を交わすよく似た指先で 上崎
百年、の手話をならって挨拶を 上崎
まっすぐおいで辻褄は蹴散らして 輪井ゆう
届かない思いをしまう箱の鍵 なさわご
きりぎりす大人のいない店で呑む 花野玖
秋ともし足ぬけできぬ雨やどり 花野玖
*
ゲリラ豪雨シュブ=二グラスの寝相かな 帰ってきた笛地静恵
肖るスギムライジング 石川聡
きりぎりす大人のいない店で呑む 花野玖
栞には丁度良かった催促状 しろとも
手紙を読んだよ八月の終わりに 無作為
さみしいが発酵 土星の輪太る 奈津実
キャラくちのタラコ唇 西沢葉火
ヘボ運転なのにイカツイ車乗る 宮坂変哲
数学と 幾何学模様 夏の茶花 靈夢
寡婦の家新米供えて独り言 ダリア220
弱冷房寂しいですかと聞かれけり 池田 突波
共感性羞恥と愉快な仲間たち 多生
待ちぼうけ雲が流れる独りごつ カゲキ・ちゃけぞう
給食がお花畑を埋め尽くす まつりぺきん
ふざけるな夏を配信しやがって 平松泥沸
FPS 最奥芋って 獲るヘッショ Pro 下民g team JIRO
夜夜中鈴虫の如叫びをり ユタカⒷ
*
朱夏という誤答の多いFAQ 月波与生
◆ 短歌
どうせもう会えないんだしどこへでも行ってしまおう さよならもせず 何となく短歌
本屋行く 悩みの深き時いつも タイトルの文字 暗示に思え 吾意羅
コンビニのアイスコーナー後にしてシュークリームで〆る8月 ユミヨシ
育児書に載ってなくてもわかるのに頭痛の種の育て方なら奥 かすみ
夕やけの角度で画廊に入りこみすべてを秋にかけ替える風 水の眠り
理由なき涙ばかり流せども 理由はわかる知りたくもない 松菊梅
夏の夕我が身と重ね偲びつつ無縁仏に想いを馳せる 古城エッ
朝は蝉、夜は秋虫涼やかに昼間の気持ちクールダウン 山羊の頭
虚しくて金の空白知りたくて狼煙を上げる十五の夜に 吉永定
君の指銀の指輪が物語る僕の知ってる君じゃない事 朝森たけ
ツァイスのレンズが写すように、世界、黒も豊かでありますように 胡椒 黒
気づいていたぜーんぶ視てたし聴いていたし触れたし嗅いだし一緒に居たけど メタル麺
◆詩・短文
※ 投稿作品はありません。
◆ 作品評から
新米の新だけ奪つたのは誰 しまねこくん
~時の流れは残酷なもの(鷺沼くぬぎ)
きりぎりす大人のいない店で呑む 花野玖
~しまった。選択を誤った。若者ばかりの店だ。いつ席を立とうか。腰が落ち着かない。価値観の異なるアリたちに囲まれて、困ったキリギリスのような客の顔が、見えます。(帰ってきた笛地静恵)
秋ともし足ぬけできぬ雨やどり 花野玖
~攻めるなあ。こういう句、スキです。街頭の光りが、わびしい。秋の色だ。夏のような豪雨だ。この下から出られない。ヤクザを止めるか。殺されるか。拷問されるか。あいつは、止めたらオレと一緒になると。追い詰められた若者。蒼い顔。(帰ってきた笛地静恵)
青い空ブルーハワイのかき氷まったく青は夏につよいな 水の眠り
~「まったく」のバランスがいい。弘前市鍛治町にあるバー『ブルーハワイ』も40年以上営業している。まったく青は強い。(月波与生)
夕暮れはみんな孤島になっちまう しんいち
~「なっていく」としないで「なっちまう」。今日もダラダラ生き残っちまった感がいい。(月波与生)
もう神も死に関与したくないっぽい =SUM( から手が動かない 胡椒黒
~面白い。LOOKUP関数の方がよかったかも。(月波与生)
お刺身の間にプラ製の蝗 しまねこくん
~プラのタガメにプラのボーフラ(名犬 ぽち)
蚊になつて女の首に止まりたし しまねこくん
~「女の」は生々しいので性別をボカシて「お前の」くらいでもいいのかも。「止まりたし」、「止まりたや」と詠嘆でも。(月波与生)
朝は蝉、夜は秋虫涼やかに昼間の気持ちクールダウン 山羊の頭
~昼間の穏やかな暮らしが続きますように(水の眠り)
虚しくて金の空白知りたくて狼煙を上げる十五の夜に 吉永定
~思春期の寂しさからくる衝動を感じました…!!!「金の空白」は月の満ち欠けの波となことと思春期の不安定さを重ねているのかな…と、面白いと思いました!(べべ)
キャラくちのタラコ唇 西沢葉火
~くちぱっち(たまごっち!)(かれん)