さみしい夜の句会報 第182号&第183号を発行しました

さみしい夜の句会
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                      UnsplashChris Barbalisが撮影した写真

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さみしい夜の句会報 第182号&第183号       (2024.8.11-2024.8.25)

第182号&の参加者は62名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

本句会にも積極的に投句されているしんいちさんが9月22日に開催される「文学フリマ札幌」へ出店します。無料配布できる印刷物を募集していますので協力できる方は9月10日頃までに送ってくださいとのことです。北海道で短詩が盛り上がることを期待します。

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◆ 参加者(62名)

西沢葉火、石原とつき、しまねこくん、帰ってきた笛地静恵、Nichtraucherchen、おかもとかも、西脇祥貴、水の眠り、クイスケ、牛田悠貴、輪井ゆう、何となく短歌、花野玖、うたたね凛、宮坂変哲、胡椒黒、汐田大輝、涼閑、雷(らい)、片羽 雲雀、羽衣、東こころ、まつりぺきん、平松泥沸、吾意羅、しろとも、石川聡、松菊梅、しんいち、菊池洋勝、古城エッ、馬勝、やは、蔭一郎、朝森たけ、折戸みおこ、奥 かすみ、鯖虎、ユミヨシ、メタル麺、ハッカ飴、あいしんぐはっぴー、奈津実、菊池洋勝、星野響、うつわ、リンネリンク、上崎、しみず わかな、山川然、エミリー・メープル・ボーン、桑原雑、海月水、もん、souko守宮、空飛ぶ!山田真佐明、池田 突波、みずなまなつ、名犬 ぽち、かれん、まんさく中村、月波与生

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◆ 川柳・俳句

蚊になつて女の首に止まりたし しまねこくん

秋暑しどつちのごみも臭いこと しまねこくん

逃がしたら野生に帰つて行く茸 しまねこくん

隣には隣の家用の残暑 しまねこくん

台風の一号おきにある遺伝 しまねこくん

台風に名前パンダにも名前 しまねこくん

夕立でなけりやわざわざ濡れるかよ しまねこくん

成仏はまださせないよ盆踊り しまねこくん

端折られた戦場に中島みゆき 西脇祥貴

火花にはならない心中のみなも やは

挽き肉を捏ねて創ったお人形  西沢葉火

ターコイズブルーの月が遅刻する 平松泥沸

学校の床は冷たいえめらるど 平松泥沸

被災地へ集まる人と田植かな 菊池洋勝

おじさんの詰め合わせ来たお中元 帰ってきた笛地静恵

手の中のハードカバーの溶けて雪 帰ってきた笛地静恵

去年まで水平線と呼んだ傷 しんいち

夕暮れはみんな孤島になっちまう しんいち

よく冷えた水平線を首に巻く しんいち

眼底へこつんと当たる敗戦日 しんいち

たこ焼きも月の引力ということで しんいち

笑えない夜はポリエステルの月 しんいち

外角低めに集めたレモン おかもとかも

脊椎に仕込んだガリの色を抜く おかもとかも

読むものがない椅子で背筋になる 雷(らい)

人間の一線超えた西瓜割り 汐田大輝

生きたい蜘蛛を夏に放す うたたね凛

倫理観だけの臀部になっちまう 牛田悠貴

ねぇ坊や時計に続編はないのよ 奈津実

思春期の記憶お寿司につけて食う もん

化石です水面。水底から見れば。 石川聡

灯籠をまわし続けている脳裏 石川聡

まぼろしはおやつのうちにはいりません しろとも

百日紅いつかの嘘が燃えている 上崎

寝違えたぬいぐるみ抱く終戦日 蔭一郎

サルビアを部屋に投げ入れて嫁ぐ 蔭一郎

   *

カニカマをさかずに食べるような恋 Nichtraucherchen

血が滾り茨の焔にリボンリボンリボン クイスケ

知らずに移住してくるバベルの塔 輪井ゆう

満月の映る眼鏡の中の君 花野玖

雨雲は泣いて泣きはらして消えた 宮坂変哲

狼の遠吠え丸い月の夜 涼閑

寄りそってずっと傍にいて残る月 片羽雲雀

夏の日の浮世離れな恋ひとつ 東こころ

得意げな入道雲の。狂い咲き まつりぺきん

地下室で調教されるさくらんぼ 馬勝

世の終わり法師蝉だけ消え残る 星野響

値打ちない樹と聞いて愛したくなる souko守宮

おのが老い 覚えて案ず 親の先 鯖虎

すいか食うクワガタムシの死の恐怖 ハッカ飴

流燈や子らと吹きたるシャボン玉 しみず わかな

泣き濡れた女の肌の塩の味 桑原雑

見上げて気づく八月の星が ある 池田 突波

雷と蝶を周って蜘蛛を撃つ 空飛ぶ!山田真佐明

   *

化石になっても流れ弾に当たる 月波与生

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◆ 短歌

展翅の誘い(でも、タイムスリップはほどほどにしなくちゃ) 石原とつき

ざばざばと洗ったトマトにかぶりつく 流しに立ったまま夏だった ユミヨシ

クーラーが私へ風の向きを変え考えすぎをそっと知らせる 胡椒 黒

大人も後半になって知ることばかり 吹奏楽部をすいぶと呼ぶ、とか 胡椒 黒

コールセンター クレームのある客を手懐けていくことが性癖 胡椒 黒

もう神も死に関与したくないっぽい =SUM( から手が動かない 胡椒黒

理解できないのが理解できないよ「かわいい」はほぼ「愛してる」だろ 胡椒黒

青い空ブルーハワイのかき氷まったく青は夏につよいな 水の眠り

チリ産の鮭の切り身をソテーして夕日をおもう太平洋の 水の眠り

静かなるさらし首だと教えてくれた 夢が叶った話しをされた 松菊梅

忘れたい、忘れたいです別れ際「またね」といったあなたの姿 何となく短歌

   *

寂しげに笑いかける子の顔に気が付きもせずスマホ見る母 吾意羅

収まった画面を見つめ返したら私の中に誰かを見てる 古城エッ

もう二度と係る事ない仕事場の悪夢を見てはうなされている 朝森たけ

8月のコメダの4人席にて終わらぬ宿題をする男子よ 折戸みおこ

手がふいに「人人人」と連ねればわたし何かを願っていそう 奥 かすみ

叩き割られたフェンダーが朽木のように転れば吹き抜ける風 メタル麺

黒色が 光も音も飲み込んで いま寂しさも 呑み込んでよ、夜 あいしんぐはっぴー

見上げれば夜空に瞬く幾つもの星 一斉に降って孤独な心星屑で満たして リンネリンク

だめになるために生きてるろくでなし。野良猫のクロに挨拶をする。 山川然

やわらかにすべすべの足撫でていた岩塩ランプの赤い光  エミリー・メープル・ボーン

もう遠く離れていった心では「ありがとう」すら浮かんで消えた 海月水

夜の中 蝉しぐれのまぼろしを聴きつつ今日も寝つきが悪い みずなまなつ

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◆詩・短文

しかし、私が仕事でグチグチ言っている間に、周りは結婚やら、妊娠やら…どんどん取り残されて行っている。飲みはストレス解消にもなったし、そもそも全然まだ結婚したくないし。
羨ましくないけどちょっとだけ寂しくなった(羽衣)

ドラマや映画で 端折られてしまう 沢山のシーンの 一つ一つが 今の自分を 沈ませている(うつわ)

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◆ 作品評から

夕立でなけりやわざわざ濡れるかよ しまねこくん
 ~あんた!浮気しとるんとちゃうの!(名犬 ぽち)

笑えない夜はポリエステルの月 しんいち
 ~すごい!普段の淡々とした柳風とまた違って、すごみがあります…。月の句が素敵です。(かれん)

灯籠をまわし続けている脳裏 石川聡
 ~燈籠は、川へ流すときに、押さえていた思い出が、一気に沸き上がる。帰宅しても、回想が止まらない。たとえば、子を亡くした母か。自分でも、どうしようもないのだ。「脳裏には回し続ける燈籠を」としては、この効果は出ない。(帰ってきた笛地静恵)

サルビアを部屋に投げ入れて嫁ぐ 蔭一郎
 ~こんばんは。早川義夫の「サルビアの花」は大好きです。これソロですよね。ちなみに早川含めジャックスとして「運命の囚人」は最高。」(石原とつき)

かもめかもめ赤い靴から人さらい  西沢葉火
 ~〈犯した少女の靴ぺったんこぺったんこ 北野岸柳〉を思い出した。奇しくも「かもめかもめ」「ぺったんこぺったんこ」のリフレイン。(月波与生)

夕立らしいくちびるの果実 クイスケ
 ~「夕立らしい/くちびるの果実」と読んだ。「夕立」の気配の中のあなたとわたし。(月波与生)

地震の日。爪が伸びる。 千春
 ~地震も爪が伸びるのも日常になってしまった。「。」で切らないと終わらない日常に。(月波与生)

八時間ちいさなへびを呑む仕事 岡村知昭
 ~こんな仕事はイヤすぎて出来ないが「ちいさなへびを呑む」ような仕事はいくらでもあるしやってきたと思う。「~のような」で胡麻化されている社会で暮らすわたしたち。(月波与生)

寝違えたぬいぐるみ抱く終戦日 蔭一郎
 ~とても素晴らしい句だと思います。こんな素晴らしい句を生み出してくれてありがとうございました。(名犬 ぽち)

学校の床は冷たいえめらるど 平松泥沸
 ~アニメの物語が、始まるようだ。ワックスを塗った。学校のタイルの床に、窓の外の緑が映っている。ありふれた風景。だが、空気が一変した。凛とした美少女が、歩いてくる。紺色の制服が、女王の盛装のよう。見慣れた場所が、異世界への通路となる。その一瞬。(帰ってきた笛地静恵)

成仏はまださせないよ盆踊り しまねこくん
 ~いいねぇ!これは好きだよ!(まんさく中村)

お盆だけ婆ちゃんが居る四畳半 宮坂変哲
 ~今日は迎え火。今年亡くなった父をお迎えしました。しばらくは「異人たちとの夏」になります。(月波与生)

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◆ 第182回&第183回句会報ダウンロードはこちらから

第182回&第183回句会報(PDF)

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