さみしい夜の句会報 第181号(2024.8.4-2024.8.11)
第181号の参加者は50名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
お盆だというのに台風5号が岩手県から上陸しましてそのまま秋田県、青森県を横断していくようです。こちらも夕方から大雨になる予報で13日は暴風域の只中にいることでしょう。来週は週報も夏休みにさせていただいて18日はお休みし25日から再開いたします。
◆ 参加者(50名)
千春、古城エッ、もん、しまねこくん、帰ってきた笛地静恵、しみず わかな、何となく短歌、しんいち、花野玖、岡村知昭、宮坂変哲、胡椒 黒、池田 突波、水の眠り、西脇祥貴、クイスケ、おかもとかも、石畑由紀子、ユミヨシ、まつりぺきん、輪井ゆう、尼寺透、遼旅、西沢葉火、平松泥沸、もりや、西見伶、Nichtraucherchen、石原とつき、蔭一郎、片羽 雲雀、雷(らい)、桑原雑、石川聡、多生、汐田大輝、桂月、リンネリンク、松菊梅、平松泥沸、涼閑、メタル麺、かれん、空飛ぶ!山田真佐明、longroof、靈夢、しろとも、名犬 ぽち、十六夜part2、月波与生
◆ 川柳・俳句
寝ない子は祭囃子にされちゃうぞ おかもとかも
海亀の生まれ変わりの法隆寺 汐田大輝
巫女どおし胸ぐら摑む今朝の秋 蔭一郎
お尻から太陽までを闇にする 空飛ぶ!山田真佐明
夕立らしいくちびるの果実 クイスケ
あなたへの残暑を消してシャンパーニュ 石川聡
地下すぎる桃のうぶげにうろたえる 石川聡
花ことば蒔くよ部屋の景色かえたくて 石川聡
立秋の夜雨の道がなまぐさい 石川聡
奈良漬けを鹿の守りの店で買う 帰ってきた笛地静恵
地震の日。爪が伸びる。 千春
桃の日々・抱きしめすぎた人魚姫 千春
お盆だけ婆ちゃんが居る四畳半 宮坂変哲
立秋の朝おかわりの声大き 花野玖
芙蓉咲き都市にサムソン冬木日記尼寺透 尼寺透
池の辺にイトーヨーカドーの鳩もいる 石畑由紀子
八時間ちいさなへびを呑む仕事 岡村知昭
朝顔を先に咲かせた方が勝ち しまねこくん
流星雨月も流れていてウケる しまねこくん
かもめかもめ赤い靴から人さらい 西沢葉火
*
少年が吊り革で浮く今日も夕暮れ もん
ゴビ砂漠指紋認証やり直し しんいち
告げる人も居ず八月白鳥座 池田 突波
放課後にどしゃぶり眺め嘔吐する まつりぺきん
煮える井の他に行き場無しバンザイ 輪井ゆう
尿道から汲んだ湧き水を舐めなさい 遼旅
カルディの袋被って御満悦 平松泥沸
尻子玉浮かぶひとけのないプール Nichtraucherchen
画面越しさみしいはやくと希う 片羽雲雀
垣間見た朧がどうも笛吹いてる 雷
首吊りに向かいし乙女見返りて 桑原雑
一か八か卵を溶いて店を出る 多生
盆前に老姉妹集まる岐阜の町 桂月
ともしびの突然消えた熱い夏 涼閑
食パンに呼ばれて蚊柱が近い かれん
それにつけても尿路結石の怖さよ longroof
病んで臥す 咳と発熱 母恋し 靈夢
割り切れず2を探してる24時 しろとも
At battlefield. Itchy moon of Miyuki Nakajima 西脇祥貴
*
お祭りは終わり口笛吹き増える 月波与生
◆ 短歌
青空に拳のごとき夾竹桃原爆忌にて教わった花 水の眠り
平成の一部は呪文でよみがえる TESSERA bon goût PJ Lapis (ティセラ ボン・グー ピージェイラピス)胡椒 黒
*
永遠の保証も何も無いままに勢いだけで今を生きてる 古城エッ
迷いなど微塵もなしに心臓は脈打ち続く 生きるしかない しみず わかな
しがみつく腕をほどいて泳ぎ出す各自一人で泳げるように 何となく短歌
見開きで少女はホースで水を撒く 終わりを告げる弧を描きつつ ユミヨシ
ともだちがしんだのにさほどかなしくもないなんて もりや
天国に愛に希望に八百じゃ足りない嘘に生かされている 西見伶
力こぶと夕焼けと烏龍茶と似てそうが似ていない 石原とつき
来世は光に満ちますように 孤独な夜の小さな願い リンネリンク
断ってそれがなんだか悔しくて登れもしない屋根で見る花 松菊梅
◆詩・短文
※ 掲載作品はありません。
◆ 作品評から
流星雨月も流れていてウケる しまねこくん
~つられたんやねえ。そゆときあるわ。(名犬 ぽち)
お祭りは終わり口笛吹き増える 月波与生
~懐かしい光景です。お祭りのあと。子どもたちは、おはやしの笛のメロディが、耳に残る。口笛で吹く。できない者もいる。息の音だけで。「夜、笛を吹くと、蛇が来るよ」親に注意される。それでも、秘かに。やめない。お祭りの「お」の敬意。(帰ってきた笛地静恵)
立秋の夜雨の道がなまぐさい 石川聡
~国道か。夜道を歩いている。ふと腥い。生ごみか。あるいは、轢かれた動物の屍骸か。雨の後なのに臭う。強烈な腐臭に、秋の訪れを感じるとは。奇想。いや、危険を感じた動物としての人間の、自然な感覚なのか。(帰ってきた笛地静恵)
お尻から太陽までを闇にする 空飛ぶ!山田真佐明
~なんや?それは(十六夜part2)
巫女どおし胸ぐら摑む今朝の秋 蔭一郎
~元気そうでいいですね。巫女バトルはぼくも見てみたいです。(名犬 ぽち)
クシュクシュをへそ上パンツに変えてから生きる覚悟がととのいました 水の眠り
~「生きる覚悟」がないまま生きてきてすいません。と思ってしまった。武士の娘のような人か。で、クシュクシュって何?(月波与生)
小数点以下二十位で飛ぶ勇気 帰ってきた笛地静恵
~「小数点以下二十位」とはまた慎重なことで。飛ぶことは落ちることを受け入れることでもあるので、このくらいまで躊躇はして当たり前かも。(月波与生)
スカートが短いことを喜んだあなたをちょっと嫌いになりそう 胡椒 黒
~こういうことを書けると創作の幅がうんと広がるのではないか。後半はストレート過ぎると思うが川柳書きの性分かもしれない。(月波与生)
年毎にフォントが変わる蝉時雨 しまねこくん
~「フォントが変わる」がいい。手垢の付いた「蝉時雨」という言葉を上手にリフレッシュした。とはいえ、今年はまだ蝉時雨を聴いていないが。(月波与生)
いちばんの性感帯は背中です自慰では触れ得ぬさみしい背中 ハッカ飴
~こういうのを読むと #さみしい夜の句会 は川柳、俳句だけでなく短歌もOKにしてよかったと思う。というか、最近短歌が充実していない?(月波与生)
戦場。雲を担ぐ中島みゆき 西脇祥貴
~今回「戦場。」で始まる句の中で最も中島みゆきらしかった。戦争、ではなく戦場としたところもセンスいい。(月波与生)